春草雛

江戸後期の戯作者・浮世絵師として活躍した山東京伝(さんとう きょうでん)により、1814~1815年(文化14年~15年)に刊行された随筆『骨董集』。『骨董集』は、近世の風俗・服飾・道具・食物・風習などについて、細密に分類してそれぞれの起源と変遷をはじめ、その形状や形式など詳細に解説した随筆です。
『骨董集』(上編下前)の雛についての部のなかで「ひいな草」と題し、草花遊びから草で人形の髪を結い、紙の衣装を着せた人形遊びが発展したと分析しています。

今の世の女童のひいな草を採(とり)て雛の髪をゆひ、紙の衣服を著せなどして、平日の玩具とす、これもいと古き事なり

その背景として次の歌が引かれています。

思ふとは摘み知らせてきひひな草 わらは遊びの手たはぶれより(為忠初度百首)

一首を詠んだ源仲正(みなもと の なかまさ)は、平安時代後期の歌人です。仲正の詠んだ”ひひな草”は、小さなハコベとされています。仲正の歌に詠まれているように、古より子どもたちが自然に生ずる手近にある小さな草花を人形遊びやままごと遊びの道具としてきたことを伝えています。

春の風物詩として親しまれてきた、蓮華草と菜の花を和紙の温かな風合いによって素朴な形式の雛に見立てました。

”Hina Dolls”

「和紙のつどい・雛展」
2017年2月2日(木)~2月8日(水)
渋谷・東急本店 6階 家具売場 特設スペース

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