冴えわびて

saewabite-

さえわびてさむる枕に影みれば 霜ふかき夜の有明の月(新古今和歌集:藤原俊成女)
Saewabi te samuru makura ni kage mire ba shimo fukaki yo no ariake no tsuki
(Shinkokin Wakashū:Fujiwara no Toshinari no musume)

藤原俊成女(ふじわらのとしなりのむすめ)は、平安時代末期から鎌倉時代初めに活躍した女流歌人です。藤原俊成の養女で実母が俊成の娘にあたり、俊成は実の祖父にあたります。中世の初め、藤原俊成は余情静寂の美のあるものを幽玄として重んじました。
俊成女の歌は、余情妖艶美に優れたところに特徴があります。

冴え冴えとした冬の夜明け。身も心も消え入るばかりの侘しい想いを有明の月に託した歌。凍りつくほど冷たくなったと表現された枕には長い時間の経過と、悲しみの消えることがない嘆きが込められています。作者の心は言葉に現われず、枕元に月の光が差し込む先には深く置かれた霜があり、月の光と霜の白さによって打ち消されるように悲しみは心に沈められて浄化されていくのを感じます。

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