月別アーカイブ: 2017年2月

雛調度

雛飾りを楽しく引き立てる雛道具。女雛の雛の調度品として、箪笥(たんす)や鏡台など人形の大きさに合わせて作られてきました。『源氏物語』第7帖「紅葉賀」には、紫の上が幼いころ、人形遊びのための小さな調度がしつらえられていたことが書かれています。

江戸時代、武家や公家をはじめとして町家の雛飾りのなかに内裏雛の雛調度が揃えられるようになりました。精巧で華麗な雛調度には、平安時代の雅への憧れ、そして平安時代の雅が吉祥のものであるという近世の志向が現れています。
画像は、茶道具と投扇興(とうせんきょう)の道具を和紙の特質を生かしてミニチュアサイズで表したものです。投扇興は、いちょうの形の的を立て扇を投げて遊ぶ遊戯です。

“Doll furniture ”

にほんブログ村 美術ブログ 工芸へ
にほんブログ村


夕暮れ

夕暮れ時。穏やかな時間の流れるなか、安らかに眠りにつく猫。猫のふんわりとした毛並みの質感と毛色の変化を柔らかな風合いの極薄口の和紙を生かし、丸みと凹凸のある体の特徴を表しました。座布団には、縮緬状に加工された豆絞りの友禅紙を使いました。

“Peaceful”

にほんブログ村 美術ブログ 工芸へ
にほんブログ村


紅梅

華麗な花色で早春を艶やかに彩る紅梅。『万葉集』の時代、白梅の白さが賛美されました。
平安時代になると、白梅に加えて紅梅が愛でられました。『枕草子』のなかで清少納言は、「木の花は 梅の濃くも薄くも紅梅。」と木の花の第一に紅梅をあげています。紅梅は、濃淡いずれの花色も素晴らしいと評しています。

また、『源氏物語』のなかで紫式部は、紫の上を通じて紅梅への愛着を語っています。紫の上は最愛の孫にあたる匂宮に大切にしていた紅梅を託しました。

画像は、『源氏物語』第43帖「紅梅」です。
柏木の弟、按察(あぜち)大納言が庭にある紅梅を一枝折らせ、「心ありて風の匂はす園の梅にまづ鶯のとはずやあるべき」と匂宮に訪れて欲しいものと紅梅に歌を添え、匂宮の元へ贈った場面のイメージです。贈られた紅梅を見て匂宮は、紅梅は香りでは白梅に劣るとされているが、この紅梅は白梅に負けない香りを持っていると賞賛しました。
このエピソードからは、白梅からは芳しい薫りを持つ薫が思い出され、源氏や紫の上が深く心を寄せてきた紅梅に匂宮が重なります。

“Genji Monogatari no.43 Koubai”

にほんブログ村 美術ブログ 工芸へ
にほんブログ村