月別アーカイブ: 2017年4月

五月

端午の節句に向けた童を題材とした一作。人形の高さは9cmほどです。
ふっくらとした柔らかな皺(しぼ)のある揉み紙を衣装に選び、子どもらしさと温かみを伝えたいと思いました。

“Boys’ Festival”

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短冊 柳

柳の若葉の浅緑が清々しく感じられる季節。しだれ柳のしなやかなやかで風に靡く様を
和紙の柔らかな色合いと質感で表し、短冊にあしらいました。

”Willow”

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花水木

新緑の季節、葉に先立って枝先に花をつけるハナミズキ。
白や薄紅色の花が枝一面を覆うさまは、遠目で見ても華やかで勢いある季節を感じます。日本には、米国に桜の苗木を贈った返礼として大正時代に渡来しました。今では春の花木として普及し、街路樹によく利用されています。
ひらひらとした軽やかな印象の花を紅色のグラデーションの和紙で表し、扇子にあしらいました。

”Flowering dogwood”

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暮春

暮れてゆく春の湊(みなと)は知らねども 霞に落つる宇治の柴舟(新古今和歌集:寂蓮)
Kure te yuku haru no minato ha sirane domo kasumi ni otsuru uji no siba bune
(Shinkokin Wakashū:Jakuren)

過ぎ去ってゆく春の行方を宇治川を下る柴を積んだ舟の泊まる湊にたとえ、惜春の想いを詠んだ一首。一首を詠んだ寂蓮(じゃくれん)は『新古今和歌集』の撰者の一人でもあります。

寂蓮の一首は、紀貫之の次の歌が本歌となっています。

年ごとにもみぢ葉流す竜田川 湊や秋のとまりなるらむ (古今和歌集:秋下)

秋の季節の終着点を紅葉の名所、竜田川の湊に見立てた貫之の歌を踏襲し、寂蓮は川に霧が立つ風情が詠まれてきた宇治川の湊を春の終着点に見立てました。

理知的な貫之の本歌に対して寂蓮は、新古今時代らしい繊細で感受性豊かな歌風によって絵画的に表現しました。宇治川を下る柴舟が立ち込めた霞の中に落ちるように見えなくなり、その終着点の湊をみることができない景色を想像させます。『源氏物語』の「宇治十帖」の宇治川を巡る物語も連想させます。春の余韻を情感豊かに表現された一首を書で表しました。

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