月別アーカイブ: 2017年7月

花うさぎ 秋草

花の妖精をうさぎの形で表したシリーズの一作。秋草の咲き始める季節に寄せて、可憐な野の精をイメージしました。樹皮を漉き込んだ素朴な風合いの和紙を衣装に選び、薄と桔梗のかんざしをあしらいました。

“ Flower rabbit autumn grasses ”

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難波潟

難波潟 みじかき 蘆のふしのまも 逢はで この世を すぐしてよとや(新古今和歌集:伊勢)
Naniha gata mijikaki ashi no fushi no ma mo ahade kono yo wo sugushite yo to ya
(Shinkokin Wakashū:Ise)

難波潟に生い茂る蘆(アシ)の茎の節と節の間の短さほどの、ほんの短い時間でも逢うこともせず、むなしく過ごせとおっしゃるのですか、との想いを詠んだ一首。一首を詠んだ伊勢は、古今時代の代表的な女流歌人です。恋歌を私的な歌から公的な晴れの歌として発展させたことに貢献しました。

イネ科の多年草の蘆(アシ)は、葦、芦、葭という漢字でも表記されます。タケやアシなどの節と節の間を古語では「よ」と言い、一首では世と夜を掛けています。アシは、成長すると人の背丈よりも高くなる植物です。春先に芽吹いた若芽は、節と節の間が短く、成長するに従い長くなります。アシの草丈が高くなる特性から、”みじかき蘆”と節と節の間が極めて短いことを強調して表現したところに、時の短さが深く印象付けられます。

難波潟はアシの名所として『万葉集』の時代より、歌に詠まれてきました。水辺のアシの群生は、春の芽吹きの美しさ、夏の水辺の涼やかさ、晩秋から冬にかけて刈り取られた風景の寂しさなど季節によって表情を変化させます。
また、『万葉集』に遡ると難波の人が葦(アシ)を燃料として焚く家が煤(すす)けて古びることに喩え、常に変わることのない妻への愛情、ほのぼのとした家庭の温かさを想い起させる、「 難波人(なにはひと)葦火(あしひ)焚く屋の 煤(す)してあれど 己(おの)が妻こそ 常めづらしき 」(巻十一:よみ人知らず)が見られ、アシは詠む人の心によって、たおやかで多彩な表現を見せてくれます。

作者の心情を難波潟のアシのイメージによって、平明に伝えた一首を書で表しました。

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青楓のリース

草木の生命感を伝える緑色。春の芽吹きの緑を伝える萌黄色、松葉のような松葉色、常緑樹の葉のように深い緑の常盤色など多様な緑を伝える和紙を集め、リースにしたものです。緑の濃淡、明暗の変化によって青楓の涼やかな風情を表しました。

”Green maple wreath”

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姫女菀

初夏から秋にかけてみられる身近な花、ヒメジョオン。白い繊細な花びらは真っ直ぐに伸び、すっきりとした草姿で勢いある季節を伝えます。素朴な野の花を和紙の繊維の強さとしなやかさによって表し、陶器の一輪挿しにあしらいました。

“Erigeron annuus”

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