月別アーカイブ: 2017年8月

見るままに

みるままに 露ぞこぼるゝ おくれにし 心も知らぬ なでしこの花( 後拾遺和歌集:上東門院 )
Miru mama ni tsuyu zo koboruru okure ni shi kokoro mo shiranu nadesiko no hana(GosyuiWakashū:Jyoutou monin)

撫子をみるにつけても涙がこぼれますと、父に死に別れた哀しみを知らず、無心に撫子の花を手にとった我が子への想いを詠んだ一首。

一首は、藤原道長の女(むすめ)、一条天皇中宮の彰子(しょうし)が詠んだものです。
彰子の夫、一条院が崩御された年、一首に詠まれた我が子、敦成親王(後一条院)は四歳でした。後に彰子は出家し、上東門院(じょうとうもんいん)となりました。

一首には、次のような詞書があります。

一条院うせ給ひてのち、なでしこの花の侍りけるを、後一条院幼くおはしまして、なに心もしらでとらせ給ひけれは、おぼしいづることやありけむ

とあり、幼い敦成親王が無心に撫子の花を手にとったところを見て、一条院のことを何かを思い出され、詠まれたことが記されています。

詞書にあるように、可憐な撫子の花に掛け、愛しい我が子を詠んでいます。愛らしい撫子の花に託し、一条院を偲ぶ哀感と我が子を慈しむ優しさが溢れています。彰子の文化サロンには、紫式部・赤染衛門・和泉式部・伊勢大輔・相模などの優れた才能が集い繁栄したのも、彰子の細やかな心配りと優しさによって支えられたものと思われます。

彰子の温かで誠実な人柄がしみじみと伝わってくる、一首を書で表しました。

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草牡丹

薄紫の小花が清々しく清楚なクサボタン。草原や林縁に咲く、日本固有種の植物です。4枚のがく片の先がくるくると巻かれた形状とほかほかとした風合いの小花が、多数つくところが愛らしい山野草です。個性ある小花の色合いと質感を薄紫のグラデーションの和紙の色合いと風合いで表し、陶器にあしらいました。

” Clematis stans ”

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秋草

秋の七草より、和紙による薄、女郎花(おみなえし)、葛を縦長の短冊の画面に配した一作。地を這うように伸びる葛、鮮やか野を彩る可憐な女郎花、穂波の美しい薄。それぞれの植物の特性に合わせた和紙を選び、紙素材ならではの切り口と線を生かし、花野の風情を表しました。

”Autumn grasses”

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扇面 女郎花

秋の野を鮮やかな黄色で彩る、可憐な女郎花(おみなえし)。小花の集まった草姿は、たおやかで優美です。和紙の柔らかな風合いと省略によって、花の風情を表し、扇子にあしらいました。

“Patorinia”

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沼虎尾・草連玉

湿地でみられる植物。 白い花穂が清楚で爽やかなヌマトラノオ。 黄色い可憐な小花を多数つけ、直立した草姿がしなやかなクサレダマ。小花が集まった咲き方に、野の花の優しさを感じます。花のつく、草の先端を切り取ったように和紙の柔らかな風合いで表し、短冊にあしらいました。

”Numatorao・ Yellow loosestrife”

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大文字草

夏から秋にかけて、山や渓谷の岩場など湿気のある岩の上に生える山野草。名前の由来となった、5枚の花びらの2枚が長く「大」という字を想わせることが名の由来となっています。花びらの長さが均一でなく、花それぞれに長短の加減が変化に富んでおり、生きいきとして動きを感じさせます。繊細な構造の花を和紙の色合いと繊維の強さによって表し、陶器にあしらいました。

“ Daimonjisou”

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