枝先に夏から秋まで次々と花を咲かせるムクゲ。一重の花底が紅色のムクゲを和紙の取り合わせによって表し、扇子にあしらいました。
”Rose of Sharon”
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青紫の花姿が雁にたとえた名のとおり、優美なカリガネソウ。和紙の染色と繊維の長さを生かして凛とした佇まいのカリガネソウを表し、和紙による草の葉を添えて一輪挿しにあしらいました。
“ Bluebeard”
秋。色や形、大きさの異なる草花が混ざり合い、静かな秋の情趣を引き立て合います。
暗紅色の穂が趣深いワレモコウ、優美なコウヤホウキ、純白の花が清楚なセンニンソウをそれぞれの特性に合わせた和紙の選択によって表し、木製の花器にあしらいました。
”Autumn grasses”
淡い紅紫の花がはんなりと咲く姿が雅な趣の藤袴。野辺で楚々として可憐に咲く河原撫子。
『源氏物語』第30帖「藤袴(ふじばかま)」より、巻名の由来となった夕霧が藤袴の花に寄せ、恋慕の情を託した一首をやんわりと退けた玉鬘。
同じ野の 露にやつるゝ 藤袴 あはれはかけよ かごとばかりも ( 夕霧 )
中国原産の藤袴は、奈良時代には日本に渡来したとされ、秋の七草として親しまれきました。平安時代、貴族の庭に植えられていたことは『源氏物語』のエピソードからも推察されます。一首を詠んだ夕霧を藤袴に見立て、第26帖「常夏(とこなつ)」で我が身を山里に咲く撫子に喩えた夕顔の遺児、玉鬘を白い河原撫子に見立て、一首の背景をイメージしました。