古今和歌集の旅の想いを詠んだ覇旅(きりょう)の部に、在原業平(ありわらのなりひら)の歌の詞書として「あつまのかたに友とする人ひとりふたりいさなひていきけり。みかはの国八橋といふ所にいたりけるに、その川のほとりにかきつばたいとおもしろく咲けりけるを見て、木のかげにおりゐて、かきつばたといふ五文字を句のかしらにすゑて旅の心をよまむとてよめる」とあります。
東の国に友人を一人二人と伴って行った折、三河の国の八橋というところにある川のほとりにかきつばたが美しく咲いているのを見て、かきつばたの五文字を句の頭に置いて旅の心を詠んだ歌が、次の一首です。
唐衣きつつなれにしつましあれば はるばるきぬる旅をしぞ思ふ
この歌は、『伊勢物語』第9段の東下りで「むかし、男ありけり」という書き出しで業平の境遇をイメージする物語にもなっています。『伊勢物語』では、燕子花は都を懐かしみ、”あはれ”を誘うものとして後世多くの作品を生み出す力となりました。
初夏、水辺を紫の花とすらりと伸びた葉で爽やかに季節を伝える燕子花。燕子花が群生する様をイメージして高さを10cmほどに縮小して表しました。飾り台の大きさは、幅20cm、奥行5cmです。
”Japanese Iris”
~春草・夏草・秋草に寄せて~
「雅な雛のつどい展」
2016年 1月27日(水)~2月2日(火)
日本橋三越本店 新館8階 ギャラリーアミューズ
2016年 1月27日(水)~2月2日(火)
日本橋三越本店 新館8階 ギャラリーアミューズ