
朱に熟した実が深まる秋を伝えるカラスウリ。色鮮やかな実と葉を数種類の異なる質感の和紙を取り合わせ、竹の一輪挿しにあしらいました。
“Japanese snake gourd ”
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佐保山の 柞(ははそ)のもみぢ 散りぬべみ 夜さへ見よと 照らす月影 (古今和歌集:よみ人しらず)
Sahoyama no hahaso no momidi chirinubemi yoru sahe miyo to terasu tuki kage ( kokin Wakashū : Yomihitoshirazu )
奈良の佐保山の雑木林の色づく木々の葉。今にも散ってしまいそうなので、夜さえも見よと月影が照らしていると詠まれた一首。一首は、『古今和歌集』秋歌下で「菊」を歌題とした歌に続き、冬を前に「落葉」を歌題とした一群に排列されています。
柞(ははそ)とは、里山の雑木林に林立する、コナラやクヌギなどのドングリのなる落葉高木をいいます。落葉前には黄色、赤褐色、茶褐色など、一葉ごとに色づき加減にも変化に富み、山野を彩り豊かに輝かせます。
雑木林の木々の紅葉が月光に映えて輝きを増し、月も落葉してしまうのを惜しむかのように照らしていると捉えた一首は、自身の紅葉への深い愛惜を月に投影しています。
落葉前の秋の澄んだ冷気の中、ひと時の里山の煌めきを詠まれた一首を書で表しました。

一日講座「アネモネ」
2026 年 1月31日(土) / 2 月 7日(土)
各日 10:00~12:00
小津和紙 ( 東京日本橋 https://www.ozuwashi.net/ )
色鮮やかに可憐な花をふんわりと咲かせるアネモネ。和紙の鮮明な色合いの対比と柔らかな質感により、春を伝えるアネモネを表します。作品は、温かみのある和紙を取り合わせた花包みにあしらい、そのまま飾っていただける形式に一回で仕上げます。
講座のお申し込み・お問い合わせ・変更は、小津和紙文化教室(一日講座のページhttps://www.ozuwashi.net/lectureship_trial.html)までお願い申し上げます。

淡い黄色の優しい花を咲かせる身近な野草、秋野芥子(アキノノゲシ)。風に揺れる花穂の優美な風情に名の由来がある野草、風草(カゼグサ)。白い花穂が清楚な白花桜蓼(シロバナサクラタデ)。秋の情趣を伝える、素朴な野草をしなやかな和紙の質感と色合い表し、木製の花器にあしらいました。
“Lactuca indica・Eragrostis terruginea ・ Pterocypsela indica”

白い星形の花びらに黄緑の斑紋と黒紫の鮮やかな斑点が野趣あるアケボノソウ。清楚な花の風情を和紙の取り合わせと点描によって表し、和紙を手折った花包みにあしらいました。
”Swerita bimaculata”

秋の夕暮れ、眠りにつく猫。和紙による人形作品と背景の色調により、安らかな夕景の情趣を画像で表現した一作。猫のふんわりとした毛並み、しなやかな体型を柔らかな和紙の質感によって表しました。
”Autumn evening”