夏木立

natsukodachi-

夏木立くもるゆふへのそらにこそ 青葉の色は猶まさりけれ(伏見院御集:伏見院)
Natsu ko dachi kumoru yufube no sora ni koso aoba no iro ha naho masari kere
(fushiminoingyoshū:fushimi no in)

『新樹』と題して詠まれた一首。
新緑の美しさを暮色のなかに見出した京極派の代表歌人、伏見院の御歌です。
”夏木立”の初句に純粋な新緑美の感動と清新なものを求められた伏見院の御心を感じます。

新緑の青葉を陽光に照らされた時間帯ではなく、夕暮れの曇った薄明の中で捉えたところに光線の変化に対して敏感な感性を持って表現した京極派の特色が表れています。ハーフトーンのなかで眺めることで視点を一点に集中させ、新緑を鮮やかに際立たせたところに伏見院の御歌風が表れています。清爽なものが心に残る一首を書で表しました。

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