源氏物語より「藤袴」

『源氏物語』第30帖「藤袴(ふじばかま)」より、巻名の由来となった藤袴の花と夕霧の歌を和紙による花と書で表したものです。

同じ野の 露にやつるゝ 藤袴 あはれはかけよ かごとばかりも ( 夕霧 )

夕霧(源氏と葵の上の子)は、実姉と思い慕っていた玉鬘(たまかずら)が従姉と知り、藤袴の花を持って玉鬘を訪れます。藤袴の花を御簾(みす)から差し入れながら、あなたと同じ野の露でしおれている藤袴に情けをかけて欲しいと歌を贈ります。

夕霧の一首は先ごろ亡くなった、祖母の大宮の喪に服しているところから、喪服の藤衣(ふじころも)の意味と、縁(ゆかり)を意味する紫の花色の意味をかけて、同じ祖母を持つ孫として藤袴に託し、慕情を訴えました。

それに対して玉鬘は、

たずぬるに はるけき野辺の 露ならば うす紫や かごとならまし ( 玉鬘 )

と切り返します。「かごと」とは口実という意味です。玉鬘は、あなたが尋ねても、遥か遠い野辺の露というのであれば、藤袴の薄紫の花色はたんなる言い訳なのでは、と夕霧の言い分を断ります。

中国原産の藤袴は、奈良時代には日本に渡来していたとされ、茎や葉に香気があることから、その香りを身につけるなど、尊ばれていました。その後の物語で、匂宮が好む花として、芳香を持つ藤袴への愛着が取り上げられています。

“Genji Monogatari no.30 Fujibakama”

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