“Genji Monogatari Emaki no.50 Azumaya”
京の三条あたりの小さな家で浮舟はひっそり暮らしています。
薫は浮舟の事情を知り、宇治に連れて行こうと浮舟の元を訪れます。
庭は草が生い茂っており、秋の冷たい雨が降り注ぎます。
(12×13.5cm)
大君亡き後、中の君は匂宮に迎えられ京の二条院で暮らしていました。
第四十九帖の宿木で登場した大君・中の君の異母妹である浮舟は中の君の元に預けられていました。
薫との縁談を考える浮舟の母の意向によるものです。
そこで浮舟は匂宮に見初められます。
難は逃れたものの、浮舟の母は三条の小宅へ浮舟を移します。
事情を知った薫は、浮舟を三条の住まいから宇治へ連れ出します。
浮舟は思わぬ成り行きに茫然とするばかりです。
場面は腰掛けて浮舟を待つ薫の前に広がる情景を描きました。
冷たい雨のそぼ降る設定は、宇治行きの結末を暗示するかのように思え、この場面を選びました。