“Genji Monogatari Emaki no.51 Ukifune”
「橘の小島の色はかはらじを このうき舟ぞゆくへ知られぬ」
橘の小島の常緑は変わることはないでしょうが、水面に浮かぶ小舟のような私の身はどこに漂っていくのでしょうか
匂宮は浮舟を小舟で宇治川を渡って対岸の家に連れ出します。
雪が降り積もった宇治川で、匂宮は小島の常緑の緑に寄せ浮舟への変わらぬ心を伝えます。
上の和歌は匂宮に対する浮舟の返歌です。
場面は宇治川で小島を前に歌を詠み交わす情景を表わしました。
有明の月が空にかかり、水面を曇りなくきらきらと照らしています。
月の光と浮舟の優美な姿によって宇治川の趣が艶やかに匂宮には感じられます。
(12×13.5cm)
宇治に隠れて住んでいる浮舟。
浮舟は匂宮と結婚した異母姉の中の君に新年の挨拶の手紙を送りました。
その手紙の文面を見た匂宮は、薫が宇治に隠している謎の女性(浮舟)と気づきます。
匂宮は浮舟が中の君の妹であることは知りません。
匂宮の邸で見かけた浮舟と再開したいと密かに宇治を訪れます。
薫を装って浮舟に近づくのですが、匂宮の一途な想いに浮舟は次第に惹かれていきます。