江戸時代の神田明神の祭礼行列より、能学の「石橋(しゃっきょう)」を題材とした山車を和紙で立体化したものです。「石橋」は、牡丹の花が咲き乱れる石橋を巡り展開される演目です。「石橋」のあらすじは、以下のものです。
寂昭(じゃくしょう)法師が清涼山(せいりょうざん)にやって来てきます。石橋を渡ろうとしたところ、童子が現れて行く手を止め、神仏の加護がなければ渡れるものではないと諫めました。橋の向こうは文殊菩薩の浄土であり、やがてめでたい前兆である奇瑞(きずい)が表れるのでここで待つようにと告げます。まもなく文殊菩薩の使いの獅子が石橋に現れ、咲き乱れる牡丹の花に戯れ泰平の世のめでたさを舞い納め、獅子は獅子の座に帰ります。
画像の作品では、深山幽谷にある「石橋」の架かる清涼山の岩肌を和紙の柔軟性によって凹凸を出しながら表現しました。山の岩肌には、花径を3センチほどに縮小して表した牡丹を植え込みました。石橋の背後には、松と笹、牡丹の植え込みを和紙の薄さと強さ、色合いで表しました。ちぎる、丸める、紙縒る、貼り合わせるなど紙素材ならではの表現を組み込んでいます。
江戸時代の神田祭の山車では、牛が山車を曳きました。牛の表現には、紙を少しずつちぎって粘土のように扱い重ね、骨格を肉付けしていく紙塑(しそ)的な人形の技法で表現しています。牛の毛並みの光沢感は、楮の和紙の持つ風合いによるものです。紙塑的な表現では紙を重ねた分、重くなります。牛の重さと動きによって山車のバランスを保ち、作品全体の調和をとっています。
「日本のまつり」
2016年9月2日(金)~10月22日(土)
午前10:00 ~ 午後5:30 ( 日曜・祝日 休館)
お茶の水・おりがみ会館 中2Fギャラリー (https://www.origamikaikan.co.jp/)
2016年9月2日(金)~10月22日(土)
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