尾花

人皆は 萩を秋と言ふよし 我は尾花が末(うれ)を 秋とは言はむ
(万葉集 巻十:よみ人しらず)

人は皆、秋といえば萩の花を上げる。私は、風に靡く尾花の穂にこそ秋の花と言いたいと率直に詠まれた歌。尾花と呼ばれるススキは、萩に次いで秋を代表する花として万葉の人に愛されていました。

秋の七草に数えられるススキの穂は秋の景物として花として捉え、古来より親しまれてきました。彩り豊かで花の形や大きさも大小さまざまな秋草の中で、ススキはしみじみとした秋の情趣を引き立てます。風に靡く様は、冬枯れの荒涼とした季節を前にして、静かに季節の推移を伝えます。

群落をなして風に靡く様を想い起す一首を書と線描で表しました。

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