容花

高円(たかまど)の野辺の容花(かほばな)面影に 見えつつ 妹(いも)は
忘れかねつも ( 万葉集:大伴家持 )
Takamado no nobe no kaho bana omokage ni mietsutsu imo ha
wasure kanetsumo( Manyoushū:Ōtomo no yakamochi )

奈良の平城京の郊外、高円山の麓に広がる野辺に咲く容花(かおばな)。その花に想いを寄せる女性の面影を重ね、詠まれた一首。

万葉の時代、長閑で美しい高円山とその山麓は、貴族たちが風流な野遊びを愉しむ清遊の地として歌によく詠まれました。家持の一首は、高円の緑に覆われた風雅な美しい風景の中に浮かび上がる、容花の清楚で愛らしい姿が際立ってみえます。一首に詠まれた容花は定説のとおり、優しく涼やかな佇まいの昼顔が相応しく思います。

高円の野辺で慎ましく咲く、昼顔の花に寄せた一首を書で表しました。

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