浮世絵師奥村政信作の画「駿河町越後屋呉服店大浮絵」を元に、その様子を立体化したものです。
「駿河町越後屋呉服店大浮絵」が制作されたのは江戸享保期(江戸中期)。「浮絵」と呼ばれた西欧の線遠近法を応用して取り入れた独自の作風があります。
立体化にあたり、初期浮世絵で多色刷りではない限られた色遣いと遠近法により奥まで細かく描かれた店の中の様子をどう表現するかが課題でした。
実際に絵の通り立体化するとなるとかなり大掛かりなものになってしまいます。
そこで原作のシンプルな色遣いと店の奥行きを工夫し、人物の大きさ、人物の衣装、建物の大きさ、柱の色や暖簾の色やサイズなど浮世絵中の越後屋にできる限り近づくように制作してみました。
建物は、柱は「板締め」というぼかしの紙を使用し重みがでるよう工夫しました。小道具もすべて和紙で作っています。
奥の間は建物の比率に合わせ描き、貼り合わせました。
人形制作は岩井昌子、私が建物制作を手がけました。写真は、2004年9月に小津ギャラリー(東京日本橋:小津和紙 http://www.ozuwashi.net/)に展示したときのものです。