源氏物語より「篝火(かがりび)」

kagaribi-s

“Genji Monogatari -Kagaribi”
秋のこと源氏は庭前の遣水(やりみず)あたりに篝火を焚かせています。
玉蔓を訪れた源氏が篝火の煙に託し玉蔓への想いを「篝火に たちそふ恋の煙こそ 夜には絶えせぬほのほなりけれ」と歌に詠みます。
それに対し玉蔓は、「行くへなき 空に消ちてよ篝火の たよりにたぐふ煙とならば」と果てしない空で想いを消してくださいと歌でさりげなく切り返します。

第26帖常夏に続く第27帖篝火では玉蔓の物語が続きます。
季節も秋風が吹き始めるころに移り変わりました。
夕顔のことが思い出されるほど玉蔓への追慕も深くなっていました。
「篝火の煙とともに立ち上る恋の煙は私の恋の炎であった」という意の歌で玉蔓に想いを伝えるものの自制心があり、篝火の炎のように心も揺らいでいます。

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