柳緑

yanagi-15-1

打ちのぼる 佐保の河原の青柳は 今は春べと なりにけるかも
万葉集:大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)

佐保川の堤には柳の青葉が春風にそよいでいます。平城京に続く大路には柳の街路樹が続いていました。古代、柳は神の依る木として考えられてきました。柳の新緑は、春を象徴するものとして捉えられ、万葉集には春の柳の芽吹きを詠んだ歌が多く入集しています。”みどり”という色名を使い、浅緑から春が進むにつれて緑の色も濃さを増していく様に春の深まりを感じとってきたことが歌を通じて伝わってきます。
佐保の地というと佐保山の春の女神、佐保姫も想い起されます。しだれ柳の浅緑のしなやかな枝を佐保姫が染めた糸に見立てられ、春風と取り合わせて和歌が詠まれてきました。
画像は、しだれ柳の柔らかな新緑と春風を和紙の柔らかな色合いと質感で表し短冊にあしらったものです。

“Willow”

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