2016年の1月末の「雅な雛のつどい展」(日本橋三越)では、~春草・夏草・秋草に寄せて~と題した作品群の展開を考えております。四季のある日本では古来より、四季の草花に心を託してきました。ことに、『源氏物語』の第21帖「少女(おとめ)」のなかで紫の上と秋好中宮の「春秋の定め」に代表されるように、春秋の情趣を比べてその優劣を競う春秋優劣論は上代から繰り返し展開されました。その積み重ねによって、”もののあはれ”は秋が勝ると認識されるようになっていきました。秋の情趣を伝える秋草は寂寥感を醸し出し、「あはれ」を伝えるものとして和歌や物語、絵画、工芸、服飾品などの題材としてさまざまな様式で表現されてきました。
優美さのなかに儚さ、わびしさを合わせ持った秋草は、その姿に心を託して文学的な表現をするのに相応しい題材でした。また、歌枕や本歌取りなど和歌文学独特なものが美術工芸に反映され、秋草の表現は洗練されていきました。
秋草に対して、明るく懐かしさを感じさせる春草。そして、春と秋の間にある夏草。
日本の四季を伝えてきた、春草・夏草・秋草を和紙によって縮小して表してまいります。
画像は、秋の七草より「葛」を和紙の繊維の強さを生かし表したものです。葛の葉の大きさは、1cmほどです。飾り台の大きさは、幅15cm、奥行き10cmです。
「雅な雛のつどい展」
2016年 1月27日(水)~2月2日(火)
日本橋三越本店 新館8階 ギャラリーアミューズ
2016年 1月27日(水)~2月2日(火)
日本橋三越本店 新館8階 ギャラリーアミューズ