夏の夜

natsunoyoru-

夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを 雲のいづこに月やどるらむ (古今和歌集:清原深養父)
Natsu no yo ha mada yohi nagara akenuru wo kumo no izuko ni tuki yadoru ramu
(kokinwakashū:kiyohara no fukayabu)

清原深養父(きよはらのふかやぶ)は、『枕草子』で「夏はよる。月の頃はさらなり。」と夏の夜の情趣を伝えた清少納言の曽祖父にあたります。古今時代の歌人、紀貫之(きのつらゆき)、凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)と交流のあった歌人です。

『古今和歌集』の夏部に「月のおもしろかりける夜、あかつきがたによめる」と歌の詞書があります。
短夜の夏、涼やかな月の余韻を感じる一首です。秋の月とは違った夏の月の趣を見出した平安期。「夏の月」が歌題として現われた頃に詠まれた歌からは、白く照らした月の光に爽涼を感じた観月を愉しむ心が格調高く真っ直ぐに伝わってきます。

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