「玉鬘(たまかずら)」

genjitamakazura-s

“Genji Monogatari Tamakazura”
源氏物語第二十二帖より登場する玉鬘をイメージしたものです。
玉鬘の巻では第四帖で夕顔が亡くなったあと、残された幼い玉鬘がどのように成長してきたかが語られています。
乳母の一家に庇護され、乳母の夫の任地となった筑紫(北九州)で成長します。
筑紫から苦難を経て京に上り、源氏の養女として迎えられます。
源氏を始めとして周囲の人々の思惑がめぐらされる中で賢明に生きていきます。

第二十五帖 蛍~第三十一帖 真木柱、第四十四帖 竹河で玉鬘をめぐる物語が展開されています。
可憐な秋草や橘の花が描かれた友禅紙と露芝文様の友禅紙(友禅和紙)を流水に見立てたところに扇面流しを配して玉鬘を和紙画によってイメージしました。
玉鬘という言葉は、黒髪の美しい様をいいます。
髪は自然に伸びていくもので自分の意にならぬもの。
玉鬘には宿命という意味合いも込められていると思います。
同じ数奇な運命を持つ浮舟、対照的な玉鬘の存在により際立つように思います。
(12×13.5cm)

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「玉鬘(たまかずら)」」への2件のフィードバック

  1. スウ

    おはようございます。
    流れるような模様が美しいですね(^-^*
    暖色系の色合なのに、爽やかでクールな
    水の流れも感じられました。
    源氏物語の情景にピッタリの作品ですね^^
    この紅の流れの行き着く先は、
    どんな運命が待ち受けているのでしょうか。

  2. ymatsu

    スウさん
    ありがとうございます。
    古典的で愛らしい図柄ですが、すっきりして萩の描くシャープさが玉鬘らしく
    思えました。
    可憐で優美な風情と機知に富み冷静さを持った姫をイメージしました。
    養父の源氏と実父の内大臣は親友でしたが、政治的ライバルとして
    対立していました。
    玉鬘の件で二人の間柄は修復されますが、帝の元に出仕を望む源氏と源氏に
    任せるものの内心自分の望む人との結婚を内大臣は期待していました。
    宮中へ出仕したものの最終的には実父の望んでいた人と結婚しました。
    玉鬘の本意ではありません。
    扇面の流れの行方は第四十四の竹河でその後の玉鬘の記述から推察
    できそうです。
    五人の子の母となり、娘たちの行く末についてかつての自分と重ね合わせて
    思案をめぐらせています。
    苦難の続く玉鬘ですが、芯の強い人賢明な人ですのでそのイメージは
    最期まで変わらないと私は思います。

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