桜のひいな

子どもの健やかな成長を祈り、身を守る形代(かたしろ)とされた雛の原形とされている「天児(あまがつ)」や「這子(ほうこ)」の素朴な姿をイメージした立雛(たちびな)です。

万葉集には

三日に、守大伴宿禰家持(かみおほとものすくねやかもち)の館(むろつみ)にして宴(うたげ)する歌三首

とあり、大伴家持(おおともの やかもち)の官邸で三月三日の宴の花として桜が詠まれています。

その第一首は次の歌です。

今日の為と思ひて標(しめ)し あしひきの 峰の上の 桜かく咲きにけり(巻19)

家持の歌からは、三月三日を迎えるにあたり、しるしをした桜が見事に咲いた感動が伝わってきます。
また、桜は古代より稲穂の実りの兆となる花であり、神の依代(よりしろ)となる霊木とされてきました。平安時代になると桜は花見の花となり、上巳の節句には中国から渡来した桃が中心となっていきました。

古を想い、桜の精を白を基調に桜柄の友禅紙を取り合わせによって小さな雛に表しました。扇形の飾り台に桜柄の友禅紙をあしらい、桜の宴をイメージしました。

”Hina doll”

~五節句をめぐる花遊び~
「和紙のつどい・雛展」
2017年2月2日(木)~2月8日(水)
東急本店6階 家具売場 特設スペース

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