七夕に寄せて、和紙による河原撫子(かわらなでしこ)、桔梗、節黒仙翁(ふしぐろせんのう)を取り合わせたものです。
室町時代、七夕法楽(たなばたほうらく)と呼ばれる、公家や将軍家などの間で器と花を競う、華やかな花合わせが行われていました。室町期の立花の姿を伝える『仙伝抄(せんでんしょう)』の中で、「七月七日の真に仙翁花(せんのうげ)、ききやう。」とあり、七夕の花の真に立てるのは、仙翁(せんのう)と桔梗であると伝えています。撫子(なでしこ)は、平安時代の七夕には花の優劣を競い、七夕伝説に寄せて歌合(うたわせ)をする、「瞿麦合」(なでしこあわせ)が催され、可憐な草姿が愛でられました。
雅な七夕行事に所縁のある花を和紙の繊維の強さとしなやかさ、染色によって表し、竹の籠花入にあしらいました。