星合

あまの川 岩こす 波のたちゐつゝ秋のなぬかの けふをしぞまつ(後撰和歌集:よみ人しらず)
Amanogaha iha kosu nami no tachi i tsutsu aki no nanuka no kefu wo shi zo matsu (Gosen Wakashū:Yomibito shirazu)

七月七日を待つ想いを織女星の身となり、詠まれた一首。

年に一度、天の川を渡り、牽牛と織女が逢うという漢代の伝説が伝えられてより、数多くの歌人に詠まれてきた七夕。旧暦の七月七日の七夕は、星合(ほしあい)とも呼ばれました。中国では、川を渡るのは織姫ですが、日本の和歌では通い婚を背景として、その多くは彦星が川を渡ります。

『後撰和歌集』の一首では、立ったり座ったりという落ち着かない動作を「波のたちゐ」という言葉で表現し、じっとしていられない心境を伝えています。岩越す波の勢いにその切実さが表れ、七夕を待ち焦がる想いの深さを感じます。

七夕歌を書で表した料紙と同系色の継ぎ紙、画仙紙を取り合わせて天の川をイメージし、古歌の趣を表しました。

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