4月3日よりお茶の水 おりがみ会館ギャラリーにて始まりました「 ― 兜 ― 世は戦国時代 」の展示風景です。画像の作品は、桃山時代の最盛期を偲ばせる、桜の下で桜の枝を手に笛や鼓の音に合わせて踊る女性たちが描かれた『花見鷹狩図』の六曲一双の向かって右隻より取材され、和紙による人形と背景により、屏風絵に描かれた世界を立体表現された作品です。
和紙人形の制作は、和紙人形作家( 駒子の紙人形:おりがみ会館講師 ) の岩井昌子氏とその教室の方によるものです。この群像作品では、人物の背景となっている、桜と松の制作を担当しております。
『花見鷹狩図』(重要文化財:MOA美術館蔵)の筆者は、狩野派に対する雲谷派の祖であり、桃山時代から江戸時代初めの画壇を代表する一人、雲谷等顔(うんこくとうがん)と伝えられています。金壁画の盛んな桃山時代、水墨画も衰えることなく、新たな動きと発展を遂げました。そのなかで、等顔は雪舟に傾倒し、その作風を継承しました。『花見鷹狩図』の左隻には、秋から冬にかけての季節を背景に武士たちの鷹狩りの様子が水墨調で描かれています。
屏風絵の筆者が生きた桃山時代の満開の桜の下で群舞する人物の背景には、広々として起伏に富んだ野辺の風景が描かれており、人物の風俗と一体となり、快活で華やぎと解放感のある時代の空気を伝えています。
屏風絵を立体で表現された和紙人形の大きさに合わせ、春の野山の風情を伝える伸びやかな松と桜を和紙の取り合わせによって表しました。重厚感と風景のスケールの大きさを感じさせる松には、深い緑の和紙の色合いとしなやかな質感で表しました。松に対して桜は、和紙の柔らかさを生かし、形を省略して軽やかで明るい雰囲気を伝えたいと思いました。
この展示会では、戦国武将のおりがみによる兜と戦乱の時代の終わり、桃山時代に制作された屏風絵の立体化による桜の風景による日本を代表するテーマでの展示となっております。ぜひ、会場にてご鑑賞ください。
「 ― 兜 ― 世は戦国時代」
2018年4月3日(火)~5月31日(木)
午前10:00 ~ 午後5:30 ( 日曜・祝日 休館)
お茶の水・おりがみ会館 中2Fギャラリー (https://www.origamikaikan.co.jp/)