素朴な草を雛に見立てた草雛から発展した花雛は、古代より受け継がれてきた日本人と植物の関わり方、江戸時代の花文化と雅な平安王朝への憧れ、和歌や物語などの古典文学の繋がりなど日本独特の文化が反映されています。
その姿を偲ぶ江戸琳派の鈴木其一(すずききいつ)をはじめとした「花雛図」に表された背景には、本阿弥光悦・俵屋宗達を始祖とした琳派で春草に美を見出したことを「琳派と春草」(2015/4/21)で書きました。「光悦と春草」(2015/4/28)では、春草美の背景に侘び茶があると書きました。簡素な内に雅なものがある花雛。光悦・光琳・抱一、そして其一とを繋ぐものに茶の湯があります。
画像は2015年の「雅な雛のつどい展」より、江戸の花雛の面影を泉鏡花の『雛がたり』を拠り所に『見渡せば柳桜をこぎまぜて 都ぞ春の錦なりける』(古今和歌集:素性法師)の和歌から着想した、桜雛(さくらびな)と柳雛(やなぎびな)を短冊の雛飾りに見立てた「桜に柳雛飾り」です。2016年の「雅な雛のつどい展」では、引き続きその背景を掘り下げてまいります。
” Willow & Cherry Blossoms ”