
山桜 咲きそめしより 久方の 雲井に見ゆる 滝の白糸(金葉和歌集:源俊頼)
Yamazakura saki someshi yori hisakaua no kumoi ni miyuru taki no shiraito
(Kinyou Wakashū:Fujiwara no Toshiyori)
山桜の花が咲き始めてより、空遠くに滝の白糸がかかって見えると詠まれた一首。一首は、第5番目の勅撰和歌集『金葉和歌集』春歌に撰集されています。院政期に白河院の院宣を受け、一首を詠んだ源俊頼(みなもと の としより)が撰者となり、編纂されました。
桜を歌題として詠まれた一首は、『古今和歌集』より受け継がれている見立てによって、山の斜面を覆い尽くすように咲き誇る山桜を詠みました。山桜を勢いよく流れ落ちる滝に見立てた一首は、山桜の光景を鮮明で幻想的に捉えています。
春の情感を理知的に清新な感性で詠まれた叙景歌を書で表しました。

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