「かへりこぬ」

kaherikonu-

かへりこぬ昔を今と思ひ寝の 夢の枕ににほふ橘(新古今和歌集:式子内親王)
Kaheri konu mukashi wo ima to omohi ne no yume no makura ni nihofu tachibana
(Shinkokin Wakashū:syokushi naishinnou)

懐かしい思い出、昔の人を追憶させる橘の花の香。「かへりこぬ昔」に懐古の心情の強さが表されています。
式子内親王は、新古今時代を代表する歌人の一人です。後白河天皇の皇女で源平の戦乱の時代、和歌を藤原俊成に師事し、俊成の子の藤原定家とも親交がありました。
幼くして賀茂斎院となり10年ほど賀茂神社で奉仕され、病で斎院を退かれてからは和歌に心を寄せられました。政変に巻き込まれるなど心穏やかに暮らせない世にあって、芯の強さを持って独自の世界観を歌に詠みました。
式子内親王の優美で気品ある歌の内に秘めた想いが、橘の香から伝わってくる一首を書で表しました。

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