投稿者「ymatsu」のアーカイブ

枯野

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花をみし秋の嵯峨野の露の色も 枯葉の霜にかはる月影(藤原俊成卿女)
Hana wo mi shi aki no sagano no tsuyu no iro mo kareha no shimo ni kaharu tsuki kage (Fujiwara no toshinari kyou no musume)

色とりどりの秋草で目を愉しませてくれた嵯峨野。今は草葉が枯れ色となり、草葉に置かれていた美しい露も枯葉に置かれた霜に取って代わり、冴え冴えとした月の光が照らしています。
新古今時代を代表する女流歌人、俊成卿女(としなりきょうのむすめ)の一首です。秋の草花が千々に咲き乱れる花野の名所であった嵯峨野。今は枯野となった嵯峨野を草葉に置く霜と月の光の白一色で表現したところに寂寥感溢れる枯野を詠みつつも、清らかで優艶な情趣が感じられます。秋草に彩られた季節の余韻を感じる一首を書で表しました。

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「日本のまつり」展に寄せて

nihonnnomaturi-4(人物制作:岩井昌子 山車・小道具制作:松山祐子)

「日本のまつり」展 (お茶の水 おりがみ会館 :おりがみギャラリー)が最終日を迎えました。ご来場いただきました皆様には御礼申し上げます。

今回、展示致しました江戸末期の神田祭の祭礼行列のなかで、一番山車の諫鼓(かんこ)山車は平成になって復活し、現在の神幸祭で江戸の面影を偲ぶことができます。神田祭は明治半ばまでは、華やかな山車を町ごとに曳き回すことが中心の祭礼でした。また、舞踊や寸劇、お囃子や仮装行列などの附け祭(つけまつり)が神幸祭の行列に加わる盛大なものでした。明治維新によって江戸幕府の公式の行事から東京の都市祭礼へと移り変わり、明治半ば以降は、電線や鉄道の普及による街並みの変貌、不景気などによる社会情勢の変化など諸事情により、山車から神輿の渡御が祭りの中心になっていきました。
平成になって神幸祭での諫鼓(かんこ)山車の復活と共に、附け祭も現代の事情に合った形で復活しました。また、江戸開府以前から江戸初期に神田祭の主体であった神事能も復活し、江戸の文化が今に受け継がれています。

多くの方にご覧いただく機会が得られ、応援いただき励みとなりました。今後とも宜しくお願い申し上げます。

”Kanda Festival”

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桜紅葉

sakura-aki-16-1

木々の葉が色づき始める頃。桜の紅葉は他の木々に先駆けて始まります。
身近にみられる桜の鮮やかな紅葉は晩秋を彩り、詩情を伝えます。楮の板締和紙のしっとりとした染色による葉と和紙の素朴な味わいによって桜の枝先を表し、扇子にあしらいました。

”Cherry tree autumn leaves”

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秋の草花に寄せて

hanayose-aki-16

秋の野に咲く草花は、初秋から仲秋には可憐で多彩な色と風の揺らぎを感じる繊細さがあります。晩秋には閑寂さを感じるのものへと花の趣は移り変わります。冬を前にした晩秋を鮮やかに彩るのは、緑から紅葉や黄葉へと移ろう木々の葉です。また、紅葉と時季を同じくして華やぎを伝える多種多様な菊は、紅葉に映えて響き合います。

画像は、四季の和紙の花を短冊の画面に立体的に表した花寄せのシリーズより、秋の彩を伝える桔梗・白萩・菊・撫子・紅葉の5種を選び、和紙の色合い、質感によって表したものです。

“Autumn plants”

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