小高く盛り上がった土坡(どは)と呼ばれる地面を図様化した形を立体で表現し、蒲公英(たんぽぽ)・土筆(つくし)・菫(すみれ)によって春の野を伝えました。
土坡(どは)に咲く春草それぞれに適した和紙を選び、縮小して表しています。蒲公英(たんぽぽ)の花の直径は1.5cmほど、飾り台の大きさは、幅15cm・奥行10cmです。
”Spring Grasses”
2016 1/27~2/2
小高く盛り上がった土坡(どは)と呼ばれる地面を図様化した形を立体で表現し、蒲公英(たんぽぽ)・土筆(つくし)・菫(すみれ)によって春の野を伝えました。
土坡(どは)に咲く春草それぞれに適した和紙を選び、縮小して表しています。蒲公英(たんぽぽ)の花の直径は1.5cmほど、飾り台の大きさは、幅15cm・奥行10cmです。
”Spring Grasses”
平安王朝の雅は、和歌とひらがなの洗練によって磨かれていき、背景には歌合(うたあわせ)がありました。
歌合は、歌の優劣を競うばかりでなく、さまざまな趣向を凝らしました。そのひとつに、歌の景色を表した工芸品がありました。「雅と歌合」(https://washicraft.com/archives/7422
の記事で書きましたように、宇多天皇が譲位されて法皇となった頃、催された「亭子院歌合(ていじのいんのうたあわせ)」(913年)では、歌の景色を表すのに、州浜(すはま)と呼ばれる台に歌の情景に合わせて造りもの山や川を配し、桜や山吹、卯の花を植えたり、鶯や郭公(ほととぎす)など木につける、川には鵜飼舟を浮かべるなど、春から夏への季節の趣向を凝らしたことが記録されています。州浜は、盆景、盆石、盆栽へと広がっていきました。
鉢を使った表現は、鉢の大きさや形によって制約されるところがあります。
雅な州浜の表現から発想を得て、春の野の情景を和紙による菫と土筆で表し、白木の台に飾りました。
「雅な雛のつどい展」に初日よりご来場いただきました皆様に御礼申し上げます。今後とも宜しくお願い申し上げます。
”Horsetail&Violet”
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早春、開花するほんの束の間だけ可憐な姿を見せる植物をスプリング・エフェメラル(春の妖精)。
「雅な雛のつどい展」では、菜の花、れんげ草などの春の草花を雛に見立てた花雛のほか、春を告げる早春の花をテーマに作品展開いたします。
画像は昨年末に紹介いたしました作品より、集めて飾ったものです。前列左よりキクザキイチゲ、ショウジョウバカマ、フクジュソウ、後列左よりカタクリ、アズマイチゲです。
和紙による野の花から春を感じていただけましたら幸いです。
“Spring ephemeral”
春の柔らかな陽光を思わせる菜の花。
スミレやレンゲ、タンポポなどとともに春の情景には欠かせない身近な花です。
鮮やかな花色と葉色の対比も爽やかで、早春の瑞々しさを感じます。
微妙な揺らぎを持っている花姿は、躍動感や生き生きとした生命感を感じます。
風に揺れ動くさまも情趣があります。
花の直径を1cm弱、高さを鉢を含めて12cmに縮小し、自然な揺らぎ、葉の表情を和紙の柔らかさで表現しました。
”Nanohana”
紅紫色の小さな花が可憐なレンゲ。
和名ではゲンゲ(紫雲英)という名を持ちますが、レンゲ・レンゲソウという呼び名で親しまれています。
スミレ、タンポポとともに春の野辺を彩ってきました。
手漉の板締和紙の柔らかな質感と色合いを生かし、花の直径を2cm、高さは鉢を含めて6cmほどの大きさに縮小して表しました。
”Chinese milk vetch”
春を代表する身近な野の花。鮮やかな黄色は、素朴で愛らしさを感じます。
スミレとともに春の情景を表すものとして親しまれてきました。
花の直径を2cmに縮小し、1cm角の豆盆栽の鉢に取り合わせました。
鮮明な黄色の板締和紙を取り合わせ、花色の濃淡を出しました。
“Dandelion”
切れ込みのある繊細な葉が優美なスミレ。大きめの花の色合いは柔らかで優しい印象です。
名の表すように比叡山に由来する名を持ちます。
花の直径は2cm前後で、個体によって花色の濃淡、変化が多くみられます。
淡いピンクを帯びた花びらの色合い、微細な変化を和紙の繊細な色合いで表しました。
葉の形や開き方と花との調和に個性のあるスミレを実物の花とほぼ同じ大きさで表しました。
葉の複雑な切れ込みと柔らかな質感を伝えたいと薄口の強制紙で表しました。
”Viola eizanensis”
日本の野に咲くスミレのなかでも花の小さなスミレ。
花の直径は1cm弱。ハート形の葉の大きさは他のスミレと変わらない大きさです。
葉の大きさに対して花は小さいところが際立ってみえます。
愛らしい白い花は、柔らかな緑の葉色に映えて春の瑞々しさを感じます。
花の特徴を実物の花とほぼ同じ大きさで表しました。
手漉きの板締和紙の柔らかな質感と色合いで葉の表情を出しました。
”Viola verecunda”
日本の野に咲くスミレのなかでも大きな花と柄の長い葉を持ったところが優美なスミレ。
花の直径は2.5cmほどで、花びらに桜のような切れ込みがあるところに名は由来しますが、個体によって切れ込みの見られないものも多いようです。
花色も個体によって紫の濃淡の色の変化があります。
赤みのある紫の花色のものを和紙の色合いと柔らかな風合いを生かしました。
この作品は、実物のものと同じくらいの大きさで花の直径2.5cmほどで表しました。
”Viola hirtipes”
白い花色が清楚な身近なスミレ。花の直径は2cm前後。
花びらの色合いには紫色が多く入る変化も多いようです。
葉の形は紫の菫と似て細長くすっきりとした印象です。
花びらの形と色をはっきりと見せたいとしぼ(皺)のある揉み紙を使い、草盆栽風にアレンジしました。
花の直径を1.5cmほど、高さを土台を含めて7cmほどの大きさで表しました。
”Viola betonicifolia”