雛人形・五節句: Hina doll ・Five festivals」カテゴリーアーカイブ

重陽

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健康と長寿を願う菊の節句、9月9日の「重陽」の節句に向けた趣向のものです。重陽の節句の前夜、菊に赤、白、黄の三色に色分けされた綿を着せ、翌日に露と菊の香が移った綿で体を清めた行事に因み、赤、白、黄の小菊を寄せました。
三色の小菊を和紙の色合いと紙素材の切り口による線を生かし、花の直径を1~2cmほど、高さを12cmほどに縮小して表しました。

” Chrysanthemum Festival ”

~五節句をめぐる花遊び~
「和紙のつどい・雛展」
2017年2月2日(木)~2月8日(水)
東急本店6階 家具売場 特設スペース

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扇面 「小菊」

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菊の花の咲く秋の節句、9月9日の重陽の節句に向けた趣向です。
旧暦での9月9日は、2016年は10月9日にあたります。古来、生命感の強い菊には健康と長寿を託してきました。素朴で細やかな花びら一枚一枚にも表情ある小菊の風情を落ち着きのある和紙の色合いによって表し、扇子にあしらいました。

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短冊 七夕飾り

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夏の風物詩、七夕。中国から伝わった牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)の伝説と針仕事や芸事の上達を星に願う「乞巧奠」(きっこうでん)の習わしなどが組合わされ、日本の七夕行事として発展しました。
梶の葉とともに、七夕を象徴してきた笹の葉。和紙による笹の葉に五色の短冊と五色の糸を掛け、七夕飾りを表わしました。

“Tanzaku Tanabata”

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梶の葉

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7月7日は七夕。願い事を書く紙が貴重であった古では、文字を書くことができる梶の木の葉が使われていました。七夕の夜、梶の葉に詩歌などを書いて供え、願い事をする習わしがありました。

七夕を歌題として梶の葉に託して詠んだ和歌から、梶の葉と七夕の願い事が結びついていたことがわかります。その一例として『後拾遺和歌集』にある、上総乳母(かずさのうば)の一首が知られています。

天の川とわたる舟のかぢの葉に 思ふことをも書きつくるかな

梶の木は、和紙の原料でもありました。梶は楮の原種で、楮より繊維が長いところに特徴があり、丈夫な和紙になります。また、梶の木は神聖な樹木として神事に用いられてきました。

和紙による梶の葉を天の川に見立てた緑を基調とした装飾のある継ぎ紙にあしらい、七夕をイメージしました。

“Tanabata”

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五月飾り

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5月5日の端午の節句に向けた短冊飾り。
邪気を祓い、息災であることを託す、菖蒲と蓬の葉を和紙で表した節句飾りです。まっすぐに伸びたしっかりとした質感の菖蒲の葉に対し、薄く柔らかな明るい葉色の蓬を質感の異なる和紙によって表し、立体感と生命感を出しました。

“Boy’s Festival”

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弥生雛

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弥生3月。雛の節句を象徴する桃と菜の花の精を人形に表したものです。和紙の風合いの柔らかさと温かみのある質感を生かしました。
桃の花のふっくらとした蕾がほころび、黄金色に野を埋めつくすよう菜の花が咲く春の野辺。明るく希望に満ちた春のうららかな田園風景を雛に込めたいと想った一作です。

“Hina doll”

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菜の花雛 

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和紙による菜の花を雛に見立てたものです。災厄を祓い、身の穢れを移すために人の身代わりとした形代(かたしろ)のひとつとしてきた古代の草雛の素朴さを残した葉を衣にした形のおひなさまです。早春の野をイメージして、白地に緑の色調の和紙を継ぎ合わせた継ぎ紙を雛の敷き紙に使いました。

“Nanohana hina doll”

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蓮華に菜の花雛

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本阿弥光悦・俵屋宗達に始まる「琳派」の流れの中で酒井抱一(さかいほういつ)、その弟子の鈴木其一(すずききいつ)をはじめとした「江戸琳派」では上巳の節句に向けた紙雛(かみひいな)や正月飾り(蓬莱飾り)など年中行事を題材にした図を残しています。上巳の節句に向けた花と紙を形代とした愛らしい「花雛図」も残されています。
花雛は、紙雛(かみひいな)の形式で蓮華(れんげ)や菜の花などを雛に見立てたもので、素朴な野の花を愛でて季節を愉しみ節句を祝う心が詩情豊かに表されており、簡素な中にも雅な風情を感じます。
「花雛図」というと鈴木其一(すずききいつ)の描いたものが想い起されます。鈴木其一(すずききいつ)は師の酒井抱一から、絵画のほか茶の湯や俳諧も学びました。田園風景を思い起こす蓮華と菜の花を雛に見立てる背景には千利休の”侘び”を感じます。
また、岡倉天心は『茶の本』の第7章「茶人たち」のなかで、「琳派」の表現について次のように述べています。

世に言う光琳派全体が、「茶道」の表現なのである。この派の太い描線には、自然そのものの活力が感じられる。

その場限りの美しさ、それを実現するための行為を利休の”侘び”と捉えると、無垢な野の花をそのままでなく、優美な和紙に包み簡潔な形式の雛に見立てるという行為には、”侘び”の思想が背景にあると感じます。
蓮華と菜の花を和紙で表したものを紙雛(かみひいな)に見立てました。
友禅紙を衣裳に選びの高さを11cmほどに抑えて、安定感を出しました。

“Flower Hina doll”

「雅な雛のつどい展」
2016年 1月27日(水)~2月2日(火) 
日本橋三越本店 新館8階 ギャラリーアミューズ
http://mitsukoshi.mistore.jp/store/nihombashi/event/index.html

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すみれのひいな

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春の野の風情を伝えるスミレ。スミレの大きのさそのままの小さな雛に見立てたものです。
軽くて柔らかな質感の和紙の風合いとスミレの花色を生かしました。

「雅な雛のつどい展」
2016年 1月27日(水)~2月2日(火) 
日本橋三越本店 新館8階 ギャラリーアミューズ
http://mitsukoshi.mistore.jp/store/nihombashi/event/index.html

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