額紫陽花

色彩と形によって四季の移ろいをさりげなく伝える植物。
涼やかな風趣で梅雨時、心和ませる額紫陽花。瑞々しい青色のしなやかな質感の和紙の取り合わせ方により、初夏の候を表しました。

「植物」
2024年3月26日(火)~3月31日(日)
gallery DAZZLE( 東京 北青山 )https://gallery-dazzle.com/

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水の面に

水(み)のおもに あやおりみだる 春雨や 山のみどりを なべて染むらん(新古今和歌集:伊勢)
Mi no omo ni aya ori midaru harusame ya yama no midori wo nabete somuran
(Shinkokin Wakashū:Ise)

池の水面を綾織るように乱す春雨。春雨が山を緑に染め上げているのであろうか、と詠まれた一首。

古今時代を代表する女流歌人、伊勢の詠んだ一首は『新古今和歌集』春歌上で「春雨」を歌題とした中に排列されています。一首は『新古今和歌集』の詞書に記された、「寛平御時后宮の哥合哥(かんぴょうのおおんとき きさいのみや の うたあわせ うた」とあるとおり、紀貫之をはじめ、古今時代を代表する歌人が集う、歌合せで詠まれたものです。

春の野山に降り注ぐ春雨が、水面に綾を織りなすように波紋を映し出し、山に降り注いだ春雨が若葉の緑を染め上げているのだろうか、と詠みました。鏡に見立てた水面に映る波紋に着目し、萌え出たばかりの瑞々しい若葉の緑を鮮やかに浮かび上がらせます。

清新な春の情感を細やかで、色彩豊かに捉えた一首を書で表しました。

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春の色

霞とも 花ともいはじ 春の色 むなしき空に まづしるきかな(式子内親王集:式子内親王)
Kasumi tomo hana tomo ihaji haru no iro munasiki sora ni madu shiru ki kana
(Shokushi naishinnou syu : Shokushi naishinnou )

果てしなく広がる大空。春を伝える霞も花も眼には見えない空に、春の兆しがはっきりと感じられると詠まれた一首。

新古今時代を代表する歌人の一人、式子内親王が詠まれた一首は、霞や花の実体のない空の気配を心の眼で捉え、春の空気感を「春の色」という詞で表したところに、内親王らしい繊細な感性が表れています。うららかな春の気配を伝える一首を書で表しました。

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花雛

三月三日の上巳の節句に向け、桃と菜の花を雛に見立てた一作。長閑な春を伝える桃と菜の花の彩と和紙の取り合わせによって表し、色紙にあしらいました。

 ”Flower doll” 

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