
丸みのある形と単色でまとまった花色が愛らしいセンニチコウ。艶やかな花色と豊かな質感のあるケイトウ。それぞれの植物を和紙の柔らかな風合い、落ち着きのある色合いで表し、陶器にあしらいました。
“Globe amaranth・Celosia argntea”

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丸みのある形と単色でまとまった花色が愛らしいセンニチコウ。艶やかな花色と豊かな質感のあるケイトウ。それぞれの植物を和紙の柔らかな風合い、落ち着きのある色合いで表し、陶器にあしらいました。
“Globe amaranth・Celosia argntea”
わが屋戸(やど)に 韓藍(からあゐ)植ゑおほし 枯れぬれど 懲りずて またも 蒔(ま)かむ
とぞ思ふ (万葉集:山部赤人)
Waga yado ni karaai ue ohoshi kare nuredo korizu te matamo makamu toso omofu
(Manyoushū : Yamabe no Akahito)
我が家の庭に植えていた韓藍(からあい)が枯れてしまったが、また諦めずに種を播き、育ててみようと詠まれた一首。韓藍(からあい)とは、艶やかな花を咲かせる秋草の一種、鶏頭の古名です。赤人の詠まれた歌の他、『万葉集』には数首、鶏頭を「韓藍」として詠まれた歌が見られます。
インド原産の鶏頭は、韓の国から伝わった藍(あい)ということから、韓藍(からあい)と呼ばれていました。鶏頭は、奈良時代には既に渡来しており、染料としても尊ばれていました。赤人の一首から、庭に植えた鶏頭を慈しみ、大切に育てられていたことが窺えます。また、鶏頭は鶏の鶏冠(とさか)に似た形状から、鶏冠草と書いて”からあい”と読まれました。
『万葉集』に詠まれた鶏頭は、紅色の豊かな質感と花色の艶やかさから、女性に譬えられることが多く、赤人の一首もまた、鶏頭に託して一度諦めた恋の炎をもう一度、燃やしてみようという思いを込め、詠まれています。
たおやかで繊細な花が多くみられる秋草の中でも、力強く生命力を感じさせる鶏頭は、花に託して喜び、苦しみ、哀しみを歌に詠んだ万葉時代の人々の生き生きとした姿を鮮やかに伝えます。燃える炎のような花の姿に託し、詠まれた一首を書で表しました。
艶やかな黄色い花を枝垂れた茎に咲かせる様が優美なジョウロウホトトギス。深まる秋をしっとりと伝える花の風情を和紙の落ち着いた色合いと点描によって表し、扇子にあしらいました。
”Tricyrtis macrantha”
清楚な白い花を上向きに咲かせるタマスダレ。細やかな薄紫の花が秋草らしい友禅菊。しなやかな和紙の風合いによって表し、温かみのある和紙の花包みにあしらいました。
“Autumn zephyrlily”
初秋の野で可憐に咲く、しなやかで色も形も多彩な優しい花々。ワレモコウ・イヌタデ・ゲンノショウコ・ハギ・カワラナデシコ・アキノノゲシをそれぞれの花の個性に合わせて選択した和紙の柔らかな風合いと色合いによって表し、竹の花籠にあしらいました。
”Autumn grasses”
釣鐘形の素朴な花が秋の風情あるツルニンジン。ふっくらとした蕾と花、動きのある蔓の風情を和紙のしなやかな特性と落ち着きのある色合いによって表し、扇子にあしらいました。
“Codonopsis lanceolata”
白地に細やかな紫斑の花が野趣あるヤマジノホトトギス。深まる秋の山路で楚々として咲く花の風情を和紙のしなやかな質感と点描によって表し、和紙を手折った花包みにあしらいました。
“Tricyrtis affinis”
秋の山野でリンドウに似た、小さな薄紫の花を咲かせる蔓性のツルリンドウ。筒状の控えめな花の風情を繊細なの和紙の色合いによって表し、陶器にあしらいました。
“Tripterospermum japonicum”
秋に群れて舞い降りてくる雁の姿になぞらえたカリガネソウ。長く伸びた雄しべと雌しべの花柱が弓なりにしなう形状に特徴が優美です。和紙の染色と繊維を生かし、細やかで躍動感のある花の風情を表し、扇子にあしらいました。
“ Bluebeard”
野を渡る風に靡き、揺れ動く様が野趣ある秋草。野性味のある草姿と紅紫色の花が雅趣ある葛。楚々とした細やかで優しい趣の鵯花(ヒヨドリバナ)。2種の山野草を和紙のしっとりとした風合いと落ち着きのある色合いで表し、和紙を手折った花入れにあしらいました。
”Kudzu vine・Eupatorium makinoi”