“Moonlight”
月みれば ちぢに物こそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど (古今集 秋:大江千里)
夜空の月を見ているときりなくわが身のことが想われて悲しい。
私一人のために秋が来た訳ではないが、物思いをさせるために秋がやって来たようで。
今回は画像の背景によく使う仮名料紙についてお話します。
白い扇子の背景、扇子の上に置かれたかなを書いた扇面に使っているのが仮名料紙です。
かなを書くだけでなく撮影の背景や展示のディスプレイ、和紙画などに料紙を使っています。
花色紙も料紙を扇面に切って使っています。
画像の作品では料紙を扇面に切り、和歌を書いてから料紙の裏側を厚みのある和紙で裏打ちしています。
扇面には白い和紙で月、揉み紙で雲を貼りこみ歌の情景を表わしました。
平安時代に平がなの登場により高度に発展した料紙。
さまざまな色に染めたり、文様を刷り込んだり、金・銀の箔加工などの装飾が施されます。
『古筆』と呼ばれる平安から鎌倉初期に書かれた『かな』は、1000年あまりの時を越えて書かれた料紙と共にその美しさを保っています。
こんばんは。
かなの柔らかな曲線が好きです^^
文字をより美しく見せるために、
和紙も進化してきたのですね。
幾重にも工夫が施された作品。
その質感をぜひ、一度直接感じてみたいです。
スウさん
ありがとうございます。
中国大陸から伝来した漢字や紙が唐風なものから
和風なみやびなものへと転換された平安時代。
漢字をくずしたところから平がなが使われるよう
になり、連綿という文字をつなげて書いていくこ
とで流麗な線が出せるようになりました。
文字の表現に合わせ紙もデザインされていきますが、
それが後世につながっています。
日本が類稀な紙文化を発展させていったのもこの
時代の美意識によるところが大きいと思います。
料紙本来の使い方を知っていただきたいとかなを
書いたものを見ていただきました。
興味を持っていただきうれしいです。
扇面にかなを書いた料紙と質感の違う紙を合わせ
て秋の月夜を表わしてみました。
料紙にクラフトを取り入れてみました。