
冬の訪れ告げる寒椿。艶やかで優しい花の風情をしなやかな和紙の風合いと鮮明な染色で表しました。
“Camellia Sasanqua”

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抱え咲きのふっくらとした早咲きの玉霞椿。細やかな絞りが華やかで愛らしい椿を和紙の取り合わせと点描によって表し、一輪挿しにあしらいました。
Camellia Japonica ” Tamagasumi ”
冬から春を追って、様々な花種で目を愉しませる椿。清楚な佇まいの白椿を和紙の温かみのある風合いによって表し、和紙を手折った花入れにあしらいました。
”Camellia Japonica”
秋の月 山べさやかに 照らせるは おつるもみぢの かずをみよとか(古今和歌集:よみ人しらず)
Aki no tsuki yamabe sayakani teraseru ha otsuru momiji no kazu wo miyo to ka
秋は月。山の辺りを明るく月が照らしている。その明るさは、散っていく紅葉の数を数えられるほどであると詠まれた一首。『古今和歌集』秋歌下で「紅葉」を歌題とした中でも ” 散紅葉 ” をテーマとした、よみ人知らずの歌の一群に排列されています。
『古今和歌集』秋歌下では、紅葉の散り行く風情を詠んだ、よみ人知らずの歌が多く撰集されています。黄葉を愛でた万葉の時代から、平安の世に移り変わり、黄葉から艶やかな紅葉へと関心が移り、深山に入り、紅葉を愛でるようになったことが反映されていると思われます。
一首では、漆黒の夜に輝く月の光に照り返された紅葉は、澄んだ冷気によって鮮やかに色づいた一葉の形がくっきりと見えるかのようで、冴え渡る月の光の輝きは、冬へと移り行く季節を伝えます。色艶やかな紅葉の季節を月との取り合わせによって風雅な趣に詠まれた一首を書で表しました。
枝が八方に広がり、夏に花を咲かせた後、四角い蒴果をつけ、熟すと薄紅色となり、4裂して種子が現れる様が風情あるマユミ。弾力のある枝ぶりと実を和紙のしなやかな質感と繊細な色合いで表し、陶器の花器にあしらいました。
”Euonymus sied l dianus”
白露の 色はひとつを いかにして 秋の木の葉を ちぢに染むらむ(古今和歌集:藤原敏行)
Shiratsuyu no iro ha hitostu wo ikani site aki no konoha wo chidini somu ramu
( kokin Wakashū : Fujiwara no Toshiyuki )
無色透明な白露。なぜ、秋の木の葉を多彩な色に染めあがるのであろう、と詠まれた一首。一首を詠んだ三十六歌仙一人、藤原敏行は平安前期に宇多天皇の宮廷歌人として活躍しました。
『古今和歌集』は、撰者となった紀貫之・紀友則・凡河内躬恒・壬生忠岑の入集歌数が多くを占める中、『古今和歌集』成立以前の作者別歌数を見ると、在原業平30首、敏行の歌は19首となっており、『万葉集』に入っていない歌を除いた古今以前の代表歌人として位置づけられます。『万葉集』の強い感動を真直ぐに素朴に詠んだ時代から、平安初期の漢詩文隆盛期を経て、和歌復興の機運が高まり、和歌は知的で優美な表現へと変革していく過程で詠まれた敏行の歌は、古今時代の軽快優美な傾向が表れています。
万葉時代、秋に色づく木々の葉は紅く色づく紅葉より、黄色に色づく黄葉が愛でられていました。『万葉集』には紅葉より、黄葉詠んだ歌が大多数を占めていました。『万葉集』をはじめ古来、露が降りると葉は色づくと捉えられていました。『古今和歌集』の時代も、凛とした冷気によって葉が色づき始める頃の情趣は、露と共に詠まれました。厳しい冬を前にした晩秋、冷たい露が木々の葉に降ることによって、葉を色づかせ、紅葉が進んでいくものと考えられていました。
敏行の一首は、そうした露によって紅葉が進むという思考を背景に、露の白一色と千々に色づく葉を数量的に対比させ、明快に緑の葉が多彩な色に変化する様を深く印象付けます。黄・橙・紅と様々に濃淡織り交ぜられ、艶やかな葉色に彩られる豊潤な山野を鮮明に伝えます。
理知的で鋭敏な感性によって、古今時代を先取りして詠まれた一首を書で表しました。
暮ゆく秋。野辺に咲くリンドウとシロバナサクラタデにハナミズキの照葉を和紙の色合いと変化で表し、竹の花籠にあしらいました。
”Autumn grasses & Autumn leaves ”
深まる秋、白菊と丸葉万作の照葉を和紙の繊細な色合いの変化と取り合わせによって表し、陶器の一輪挿しにあしらいました。
”Chrysanthemum & Hanamelis japonica”
一日講座「山桜」
2025 年1月30日(木) / 2月1日(土)
各日 10:00~12:00
小津和紙 ( 東京日本橋 https://www.ozuwashi.net/ )
古代より日本の山野で自生する山桜。山桜の白い花色と花と同時に開く葉と枝ぶりは、古雅な趣を醸します。繊細で落ち着きのある和紙の色合いと風合いにより、山桜を表します。作品は、雅な趣の和紙を取り合わせた花包みにあしらい、そのまま飾っていただける形式に一回で仕上げます。
講座のお申し込み・お問い合わせ・変更は、小津和紙文化教室(一日講座のページhttps://www.ozuwashi.net/lectureship_trial.html)までお願い申し上げます。