“Autumn Grasses and Moon”
虫の声が響きわたる萩や薄の広がる野原。
野を吹く風も清々しく感じられます。
秋の月夜の趣を千代紙と友禅紙を使い表わしました。
(12×13.5cm)
「和紙画:washi-ga」カテゴリーアーカイブ
「玉鬘(たまかずら)」
“Genji Monogatari Tamakazura”
源氏物語第二十二帖より登場する玉鬘をイメージしたものです。
玉鬘の巻では第四帖で夕顔が亡くなったあと、残された幼い玉鬘がどのように成長してきたかが語られています。
乳母の一家に庇護され、乳母の夫の任地となった筑紫(北九州)で成長します。
筑紫から苦難を経て京に上り、源氏の養女として迎えられます。
源氏を始めとして周囲の人々の思惑がめぐらされる中で賢明に生きていきます。
第二十五帖 蛍~第三十一帖 真木柱、第四十四帖 竹河で玉鬘をめぐる物語が展開されています。
可憐な秋草や橘の花が描かれた友禅紙と露芝文様の友禅紙(友禅和紙)を流水に見立てたところに扇面流しを配して玉鬘を和紙画によってイメージしました。
玉鬘という言葉は、黒髪の美しい様をいいます。
髪は自然に伸びていくもので自分の意にならぬもの。
玉鬘には宿命という意味合いも込められていると思います。
同じ数奇な運命を持つ浮舟、対照的な玉鬘の存在により際立つように思います。
(12×13.5cm)
「立秋」
「夏の夕(ゆうべ)」
「星逢(ほしあい)」
源氏物語より「蛍」
源氏物語より「東屋(あずまや)」
“Genji-Monogatari Azumaya”
源氏物語の第45帖「橋姫」より第54帖「夢浮橋」までは宇治十帖と呼ばれています
源氏の亡き後、宇治を舞台に薫と匂宮の二人の貴公子と女君たちの物語が語られます。
場面は、第50帖より薫と匂宮をめぐるヒロイン浮舟が暮らす京の三条あたりの小さな家の庭の情景を描いています。
荒れた庭は草が生い茂っており、秋の冷たい雨が降り注ぎます。
雨模様の情景は物語の今後を暗示してもいます。
東屋から夢浮橋まで宇治での浮舟をめぐる物語が展開されていきます。
宇治での物語には宇治川の情景がよく出てきます。
宇治川の四季の移ろいも物語を通して思い描いていただけましたら幸いです。
源氏物語より「葵」
“Genji Monogatari no.9 Aoi”
賀茂神社で新斎院が御禊(ごけい)をされる日(葵祭)、源氏もその行列に加わるということで都大路は例年にない賑わいでした。
源氏の正妻葵の上も見物に出かけます。
源氏に想いを寄せている六条の御息所(みやすどころ)も忍んで見物していたのですが、車の場所争いが互いの従者のあいだで起こってしまいます。
(12×13.5cm)
今日、葵祭は毎年5月15日に京都の上賀茂神社・下鴨神社で行われています。
源氏物語第9帖『葵』では、車争いの場面を10枚ほどの和紙を使い、和紙画で表しました。
画面の上から御所車、中央に双葉葵、その下に源氏車の文様を配しました。
双葉葵は葵祭を象徴する植物です。
源氏車は御所車をモチーフにした文様です。