
薫風を受けて揺れ動く花房が優美な藤。和紙の紫の濃淡によって躍動感ある花の風情を表し、和紙を手折った花包みにあしらいました。
”Wisteria”

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藤浪の 花は盛りに なりにけり 平城(なら)の京(みやこ)を 思ほすや君
( 万葉集:大伴四綱 おおとものよつな )
Fujinami no hana ha sakari ni nari ni keri nara no miyako wo omohosu ya kimi
(Manyoushū:Ōtomo no Yotsuna)
藤の花の季節。咲き誇る藤の花に寄せ、奈良の都を思い出しませんかと都を懐かしむ心を人に問いかけた一首。
一首を詠んだ大伴四綱(おおとものよつな)が九州の大宰府に防人司佑(さきもりつかさのすけ)として防人を管理する職務に就いていた折、祝宴の席で大宰府の長官であった大伴旅人(おおとものたびと)に問いかけ、詠まれまれたものとされています。
古来より、藤は強い生命力と薫り高く優美な花を波打つように咲かせる姿が愛でられてきました。爽やかな新緑の季節に風に靡き花房が揺れ動く様は、壮麗な奈良の都の賑わい、華やかさを想わせます。
都の栄華を偲ばせる雅な藤の風情に寄せて詠まれた一首を書で表しました。
紫陽花のように小花が集まった形状が手毬を想わせるオオデマリ。白い小花と葉色の対比の爽やかな印象を和紙の取り合わせによって表し、立体感ある画面にアレンジしました。
“Japanese snowball”
大きく広げた葉の上に静かに小さな花を咲かせるエンレイソウ。落ち着いた佇まいの山野草を和紙の色合いとしなやな風合いで表し、木製の花器にあしらいました。
” Trillium smallii “