春風によって運ばれてきた落花。
和紙による桜の落花を継ぎ紙に散らし、春の夕をイメージしました。
”Chererry Blossoms”
梅の花が見頃の時季。
友禅染の技法を和紙に取り入れた友禅紙の図柄には、桜柄についで梅柄も種類が多く、伝統文様から斬新なものまで幅広くあります。
厳寒のなかで咲き始める香り高い梅は、吉祥の植物でもあります。
また、梅は菅原道真の象徴として、天満宮の神紋として親しまれてきました。
上段の画像は、梅柄を生かして「たとう」と「ぽち袋」を折ったものです。
画像の左手のものは一重の梅の花を真上からみた形の「梅鉢」と呼ばれる伝統文様の友禅紙で折ったものです。
中央と右手のものは、古典的なもの、可憐なものと図柄の個性を生かして折ったものです。
梅の図柄によって折形の立体感が引き立ちます。
下段の画像は、板締和紙の折り紙によるバラをあしらった、白地にさりげなく梅があしらわれた図柄が新鮮な友禅紙で折った花かごです。
テーマや用途によって、友禅紙を生かしてみるとよいと思います。
友禅紙を加工した金千代や板締和紙を使った折り紙講習をイベント期間中、上記の時間内で会場にて承っております。ご希望されるものをお好きな柄を選び講習を受けていただけます。所要時間はおよそ15分から30分くらいです。休憩で不在の時間もございます。ご了承ください。費用は材料費のみで、予約の必要はございません。
上段の画像は、端午の節句にむけた兜と菖蒲の花飾りです。
文様を生かし、兜と花入れを折ったものです。菖蒲には、染色に変化のある板締和紙の折り紙で折りました。
下段の画像は祝鶴(寿鶴)です。文様をはじめ、友禅柄など扇面に季節感を出して愉しんでいただくのもよいかと思います。
友禅染の技法を和紙に取り入れた京染紙。友禅紙と呼ばれるものです。なかでも桜柄は種類も多く、古典的なものから斬新なもの、可憐なものから落ち着いたもの、色合いも伝統色からパステルカラーのものと幅広くあります。
画像は、桜柄を生かして「たとう」と「ぽち袋」を裏面に金色加工されたもので折ったものです。
上段の画像の左が「たとう」です。たとうとは、「畳み紙(たたみがみ)」を意味するもので、折り畳んだものを開いたり、閉じたりできるものをいいます。
お祝い事の多い桜の季節に向けて、包むものの大きさに合わせたサイズの紙で折っていただくとギフトのパッケージとしても応用できます。
画像の折り紙のサイズは18cm角で折っています。
「雅な雛のつどい展」に向けて、最近の作品の中より画像で表現したものからポストカードにしたものです。
昨年は、和紙とガラス・陶磁器・漆器など異質のものとの取り合わせを試みた作品をいくつか紹介いたしました。和紙と硬質のものを取り合わせることで、和紙の持っている風合いや柔らかさ、温かみがより引き立って見えることがあります。気品のあるもの、侘びた味わいのあるもの、凛としたもの、雅なもの、清涼感のあるもの、素朴で心和むものなど器によって雰囲気もさまざまです。和紙とは異質の器との出会いによって創出される気配があります。
画像の作品は四季の花を集めたものです。春は桜の品種のひとつ御衣黄(ぎょいこう)、夏は山紫陽花をグラスに合わせたもの、秋は七草より葛を扇面にあしらったもの、冬は斑入り椿を陶器に合わせたものです。
東武百貨店 船橋店 2月26日(木)~3月4日(水)
詳しくはこちらをご覧ください https://washicraft.com/archives/7575
東武百貨店 池袋店 3月19日(木)~3月24日(火)
森田和紙: 倭紙の店にて
花色紙を取り揃え用意してまいります。
会期中、和紙の折り紙によるお雛様や兜、ぽち袋などの折り紙講習がございます。
月をこそながめなれしか 星の夜の深きあはれを今宵知りぬる
(建礼門院右京大夫集:建礼門院右京大夫)
Tuki wo koso nagame nare sika hosi no yoru no fukaki ahare wo koyohi siri nuru
(kenreimoninukyounodaifusyu:kenreimoninukyounodaifu)
この歌には長い詞書があります。
十二月一日ごろなりしやらむ、夜に入りて、雨とも雪ともなくうち散りて、村雲騒がしく、ひとへに曇りはてぬものから、むらむら星うち消えしたり。引き被(かつ)き臥(ふ)したる衣(きぬ)を、更けぬるほど、丑二つばかりにやと思ふほどに、引き退(の)けて、空を見上げたれば、ことに晴れて、浅葱色(あさぎいろ)なるに、光ことごとしき星の大きなるが、むらもなく出でたる、なのめならずおもしろくて、花の紙に、箔をうち散らしたるによう似たり。今宵初めて見そめたる心地す。先々も星月夜見なれたることなれど、これは折からにや、ことなる心地するにつけても、ただ物のみ覚ゆ。
12月1日頃のこと。夜のうちは天候は悪かったものの、午前2時半ごろにはすっかり晴れて星空が一面に広がっています。
いままで月にしみじみとした情趣を感じ心動かされてきたが、美しい星空と出逢い、星空にも深く”あはれ”を誘うものがあることに気づいた感動が伝わってきます。
美しい星空を「箔をうち散らしたるによう似たり」と紙に箔を散らした様に捉えたところは、平安時代に歌を書くために趣向を凝らした料紙を思いました。
花の紙とは、花色の紙をいいます。花色はツユクサの花色に由来します。薄青色の縹色(はなだいろ)。縹色は花田色(はなだいろ)とも表記され、花田色が省略されて花色と呼ばれました。
箔が散らされたかな料紙を使い、星月夜を想い書で表しました。
月もみず風もおとせぬ窓の内に 秋をおくりてむかふともし火 (風雅和歌集:後伏見院)
Tuki mo mizu kaze mo otosenu mado no uchi ni aki wo okurite mukafu tomoshibi(Fuugawkashū:gofushiminoin)
灯火の仄かな光以外、色も音もない閑寂な世界。
心の内に去り行く秋への想いを詠んだ歌。
灯火の光の揺らぎと対座してを詠んだ心をむら染め和紙の色合いと書で表しました。
澄み切った空気感と静けさ、時間の推移が心の内の深さを感じます。