雛人形・五節句: Hina doll ・Five festivals」カテゴリーアーカイブ

紙雛の色紙飾り

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紙雛(かみひいな)を色紙飾りにした一作。
梅は、早春の季節を伝えるとともに吉祥の植物として愛でられてきました。
友禅紙のはっきりとした図柄を生かし、シンプルに表したいと思いました。
色紙には、数種類の紙を切り継ぎしたものを貼り合せて一枚の紙に仕立てる、かな料紙の継ぎ紙をイメージしたデザインの色紙と合わせ、京風の雅な趣を出しました。
”Hina Doll ”

2015 2/26~3/4
『京洛老舗の会』
東武百貨店 船橋店 

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兜飾りの色紙

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端午の節句の兜飾りを色紙にあらわしたもの。
端午の節句は、菖蒲の節句とも呼ばれるように菖蒲によって邪気を祓い、健康を願うものでした。菖蒲(しょうぶ)の読み方が尚武(しょうぶ)、または勝負につながるとことから、男児の誕生と成長を祝うものが込められていきました。端午の節句は、穢れや災いを祓う上巳の節句の形代(かたしろ)という概念ではなく、神の依るものとしての依代(よりしろ)として兜飾りが捉えられていました。

兜の背景には端午の節句を象徴する菖蒲の葉をあしらい、友禅紙、千代紙、板締め和紙、揉み紙など質感の異なる和紙を取り合わせ、立体感を出しました。
兜の左右にある華やかな吹き返しと呼ばれる部分には、亀甲、紗綾形、菊花菱などの文様を取り合わせ、吉祥を込めました。

“Tango-Sekku”
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「端午の節句短冊飾り」

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端午の節句の飾りを短冊に表したもの。「雅な雛のつどい展」(1/28~2/3)では、端午の節句に向けた色紙飾りなど出展いたします。
端午の節句では、邪気を祓うものとして菖蒲と蓬が飾られてきました。
しぼ(皺)があり、厚みのある強制紙の性質を生かし、まっすぐに伸びた菖蒲の葉を表しました。蓬には柔らかな質感と、単色の染色でなく、濃淡のある薄口の板締和紙を使い、紙質の違いによって立体感、生命感を伝えたいと思いました。菖蒲と蓬を白い和紙に包み、短冊には、金色の装飾が施されている細幅の歌用のものを合わせました。
掛け軸には板目のはっきりとした木製のもので、壁面に吊り下げなくてもよい、立てかけて飾っていただけるものを選びました。
(短冊:36.4×6cm)
“Tango-Sekku”
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「桜に柳雛飾り」

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古代、柳は松と同じく神の依る木として考えられてきました。『万葉集』の時代、柳の芽吹きを愛で、歌に詠みました。柳は平城京では街路樹として朱雀大路に植えられ、都を象徴するものでした。

春の日に 萌(は)れる柳を 取り持ちて 見れば京(みやこ)の 大路念(おも)ほゆ (大伴家持:おおとものやかもち)
ふっくらと芽吹いた柳の浅緑に彩られた華やかな都大路の賑わいが想い起されます。

柳は平安京に移されてからも、朱雀大路を中心とした街路樹をはじめ、御所や邸の庭、川の護岸として植えられ、街のあちらこちらに点在しており、身近なものでした。柳の芽吹きは、春を象徴するものとして捉えられていました。

見渡せば柳桜をこぎまぜて 都ぞ春の錦なりける(素性法師:そせいほうし)

『古今和歌集』に選ばれている平安京の春を象徴する一首です。
素性法師は、紀貫之と同時代を代表する歌人です。宇多天皇の歌合にも招かれ、貫之とも交流がありました。『古今集』では36首入集しています。柳と桜の取り合わせを錦にたとえた一首は、雅な都の春景色を想起させるイメージとして、後世、和歌に限らず、絵画や工芸などに影響を与えました。

泉鏡花の『雛がたり』の書き出しの桜雛(さくらびな)と柳雛(やなぎびな)からは、この一首が浮かびました。『雛がたり』では、桜と柳、菜の花と桃、すみれ2種、つくしとたんぽぽという取り合わせの順で配列されています。桜と柳によって平安京の春景色を重ね合わせ、源氏物語の世界へと誘う雅な情趣を伝えています。
鏡花が配列した花雛は、視点が高いところ、雅なものから、視点を下げて鄙(ひな)なものになっています。景色の広がり、心の広がり、古と今をつなぐ絆を感じます。

江戸時代の雛祭りを描いた図には、雛飾りとして柳と桜が生けられて飾られたものがみられます。
柳や桜の枝ぶりをそのまま生かすと高さが必要となります。それと合わせる器も大きくなり、屏風絵に描かれている世界のようにみえてきます。素性法師の歌からイメージされる屏風絵というと、江戸時代の土佐派、土佐光起(とさ みつおき)の『春秋花鳥図』の春の図が浮かびます。

鏡花の『雛がたり』は、華麗な屏風絵のイメージよりも江戸琳派の酒井抱一(さかい ほういつ)が『桜・楓図屏風』で描いたように、桜と柳の下には春草がひっそりと咲く、楚々とした風情が合うと感じました。『雛がたり』に書かれている春景色とその背景から想起したものを短冊を使い表しました。短冊飾りの下に、菜の花、すみれ、つくし、たんぽぽなど春草が咲いている情景をイメージして『雛がたり』の世界を表しました。桜、柳には板締和紙の柔らかな質感と染色を生かしました。
柳は、上巳の節句に飾られてきた植物のひとつでもあります。新年の床飾りの結び柳のように、柳の枝に紅白の餅花をつける餅花飾りや、つるし雛のように柳の枝にさげ飾りをつける柳飾りが伝えられている地域もあります。桜と柳の雛については今後さらに考察していきます。

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紙雛軸飾り 「桜尽くし」

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紙雛(かみひいな)の色紙飾りより、江戸の雛、『雛がたり』に寄せて桜柄でまとめた一作。
桜の季節の節句を想い、可憐な小桜の友禅紙を衣裳に選びました。
掛け軸には白茶と紅を取り合わせたものを選びました。

(色紙:12×13.5cm)
”Hina Doll ”

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紙雛軸飾り 「桜に波」

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紙雛(かみひいな)の色紙飾りより、桜に波文様の友禅紙を衣裳に選んだ一作。
躍動感のある大柄の波文様を生かしたいと考えました。袴も桜に波文様の友禅紙を使い、季節感と吉祥を込めましました。
掛け軸には朱と紺を取り合わせたものを選び、同系色でまとめました。

(色紙:12×13.5cm)
”Hina Doll ”

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紙雛軸飾り

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紙雛(かみひいな)を立体感のある色紙飾りにした一作。
桜柄と流水の図柄を取り合わせた衣裳と配色で雛の節句の季節感を伝えたいと思いました。
掛け軸には紅色と長春色の組み合わせのものを選び、同系色でまとめました。
(色紙:12×13.5cm)
”Hina Doll ”
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蓮華に菜の花雛

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2015年1月28日~2月3日の「雅な雛のつどい展」(日本橋三越本店新館8階ギャラリーアミューズ)に向けた江戸の花雛の一作。今回の雛展のタイトルにありますとおり、”雅”をテーマに江戸の花文化、琳派、泉鏡花の『雛がたり』から発想した花雛を中心に出展いたします。
「雅な雛のつどい展」の詳細は、こちらの記事( https://washicraft.com/archives/7082 )を参照ください。

本阿弥光悦・俵屋宗達に始まる「琳派」と呼ばれる系譜。「琳派」の流れの中でも、江戸後期の酒井抱一(さかいほういつ)、その弟子の鈴木其一(すずききいつ)をはじめ「江戸琳派」では上巳の節句に向けた紙雛(かみひいな)や正月飾り(蓬莱飾り)など年中行事を題材にした図を残しています。紙雛(かみひいな)とは、今の立雛の古語です。
紙雛は江戸琳派に限らず、京琳派の神坂雪佳(かみさかせっか)、京都で活躍した円山四条派の円山応挙(まるやまおうきょ)など多くの作家が描いています。
紙雛の意匠は、櫛(くし)や着物にもみられ、紙雛が広く親しまれ、流行していたことが窺えます。今も画題として受け継がれて、親しまれています。

上巳の節句に向けた花と紙を形代とした愛らしい花雛図も残されています。花雛は、紙雛の形式で蓮華(れんげ)や菜の花などを雛に見立てたものです。
蓮華は菜の花とともに春の野を彩る風物詩として親しまれていました。「琳派」では、小さくて愛らしい蓮華を蕨、土筆(つくし)、菫(すみれ)、蒲公英(たんぽぽ)などと共によく描いています。蓮華と菜の花の取り合わせは、桃と菜の花の配色に似て、ピンクと黄色の花色が春らしく、優しさを感じます。また、蓮華と菜の花を取り合わせは、長閑な田園風景を想起させてくれます。
紙雛(立雛)をシンプルに省略した素朴な姿に花を取り合わせた花雛は、季節を愉しむ心と節句を祝う心が詩情豊かに表されており、春の暖気が伝わってきます。簡素な中にも春の華やいだ雰囲気が漂い、雅な風情を感じます。

画像の作品は、江戸の花雛からイメージしたものを友禅紙、能千代紙など和紙によって紙雛の形式で立体的に表したものです。江戸の紙雛図では今のように2通りの並び方がみられます。画像の作品は、江戸の花雛を意識して酒井抱一や鈴木其一などにみられる女雛を向かって右に配置してみたものです。形代には、油菜(あぶらな)と蓮華(れんげ)を板締和紙で表しました。
衣裳の図柄は向い鶴に亀甲と砂子を取り合わせて吉祥を込めました。
作品の高さは、蓮華雛が15cmほどです。

なお、1月21日(水)から2月2日(月)まで日本橋三越本店新館7階ギャラリーでは、「岡田美術館所蔵琳派名品展 ~知られざる名作初公開~ 」が開催されます。
岡田美術館 http://www.okada-museum.com/information/archives/427

日本橋三越本店 http://mitsukoshi.mistore.jp/store/nihombashi/index.html

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桜橘に寄せて

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江戸幕府が定めた五節句が廃止され、暦も旧暦から新暦に変わった明治6年。この年を境に春の花を飾って祝う上巳の節句も変化していきました。
明治6年に生まれた泉鏡花が、『雛がたり』で記憶した上巳の節句は6歳から7歳頃とあるので、明治10年代頃のこと。江戸時代の町家での節句の面影を偲ぶことができます。『雛がたり』の書き出しを見ると、桜雛以下の花雛を除けば、今も形として残されており古の姿を見ることができます。

雛(ひな)-女夫雛(めおとびな)は言うもさらなり。桜雛(さくらびな)、柳雛(やなぎびな)、花菜の雛(はななのひな)、桃の花雛(もものはなびな)、白と緋(ひ)と、紫(ゆかり)の色の菫雛(すみれびな)。鄙(ひな)には、つくし、鼓草(たんぽぽ)の雛。相合傘(あいあいがさ)の春雨雛(はるさめびな)。小波(ささなみ)軽く袖(そで)で漕こぐ浅妻船(あさづまぶね)の調(しらべ)の雛。五人囃子(ごにんばやし)、官女(かんじょ)たち。ただあの狆(ちん)ひきというのだけは形も品しなもなくもがな。紙雛(かみひいな)、島(しま)の雛、豆雛(まめひいな)、いちもん雛(びな)と数うるさえ、しおらしく可懐(なつかし)い。

花雛に続く、変わり雛。時代の世相を表した変わり雛は、今も受け継がれています。
『雛がたり』では、雛についてをひな・びな・ひいなと3つの読み方を使い分け、雛の形式によって読み方の違いがあることも伝えています。古語の「ひいな」という呼び方を紙雛、豆雛に使っており、この時代にはひいなという呼び方が残っていたことも読み取れます。

愛らしい雛道具に続き、屏風、雪洞の様子が書かれています。

一双(いっそう)の屏風(びょうぶ)の絵は、むら消えの雪の小松に丹頂(たんちょう)の鶴、雛鶴(ひなづる)。一つは曲水(きょくすい)の群青(ぐんじょう)に桃の盃(さかずき)、絵雪洞(えぼんぼり)、桃のような灯(ひ)を点(とも)す。

屏風絵は鶴を描いたものと曲水の宴が描かれています。左右対になって一組になった屏風を「一双」と数えます。
民間では3月3日は雛の節句ですが、宮中では曲水の宴が催されました。
桃の盃に、桃のような雪洞の灯。ここで、上巳の節句は、桃の節句であることが伝わってきます。
ここには桜橘は見えません。
『雛がたり』の書き出しは、今から見ると不可思議に見えます。
それは、書き出しにある花雛が桜橘のようにすぐにはイメージできないからです。
花雛の花はすべて生きた花なのか、造り花も混じっているのか、現実のものか、幻想のものも含まれているのか、謎は深まります。ただ、花雛は存在したことは確かで、花雛の並び順に深い意味を込め、花それぞれの持っているものから緻密に構想されていて感銘を受けました。
今では絵画や文芸の中でしか味わうことができない世界のように思えてきます。
いくとおりの可能性があり、それぞれの植物に込められた背景があります。

改暦された明治6年(1873年)から140年ほど経ちました。
近世から近代へと移り変わる過程で欠落してしまった部分を『雛がたり』は細やかに伝えています。
最近、桜橘に代わって紅白梅の造り花を雛飾りに添えた雛人形を多く見かけます。
住環境も変わり、シンプルに飾る傾向になってきました。梅は今の暦の節句では季節が合い、すっきりと落ち着いた印象で、今の時代の好みを反映しています。
和紙を素材とした雛は古来の姿、シンプルな表現、季節感を伝えることができると思います。
時代の変化を受け入れながら、雛を飾って祝う伝統が続くことを願っています。
『雛がたり』については来年、引き続き形にしてまいります。

今年も和紙による作品をご覧いただきありがとうございました。
ブログサービスの突然の終了により、新たな気持ちでブログを立ち上げ直すきっかけになりました。ブログ移転後も継続してブログをご覧いただき、支えていただいた皆様には心より御礼申し上げます。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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