蔓人参

釣鐘形の素朴な花が秋の風情あるツルニンジン。ふっくらとした蕾と花、動きのある蔓の風情を和紙のしなやかな特性と落ち着きのある色合いによって表し、扇子にあしらいました。

“Codonopsis lanceolata” 

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山路杜鵑草

白地に細やかな紫斑の花が野趣あるヤマジノホトトギス。深まる秋の山路で楚々として咲く花の風情を和紙のしなやかな質感と点描によって表し、和紙を手折った花包みにあしらいました。

“Tricyrtis affinis” 

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蔓竜胆

秋の山野でリンドウに似た、小さな薄紫の花を咲かせる蔓性のツルリンドウ。筒状の控えめな花の風情を繊細なの和紙の色合いによって表し、陶器にあしらいました。

“Tripterospermum japonicum”

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扇面 雁草

秋に群れて舞い降りてくる雁の姿になぞらえたカリガネソウ。長く伸びた雄しべと雌しべの花柱が弓なりにしなう形状に特徴が優美です。和紙の染色と繊維を生かし、細やかで躍動感のある花の風情を表し、扇子にあしらいました。

“ Bluebeard”  

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葛に鵯花

野を渡る風に靡き、揺れ動く様が野趣ある秋草。野性味のある草姿と紅紫色の花が雅趣ある葛。楚々とした細やかで優しい趣の鵯花(ヒヨドリバナ)。2種の山野草を和紙のしっとりとした風合いと落ち着きのある色合いで表し、和紙を手折った花入れにあしらいました。

”Kudzu vine・Eupatorium makinoi”

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秋の初風

玉にぬく 露はこぼれて 武蔵野の 草の葉むすぶ 秋の初風(新勅撰和歌集:西行)
Tama ni nuku tsuyu ha koborete musashino no kusanoha musubu aki no hatsu kaze
(Shinchokusen Wakashū : Saigyou)

武蔵野の草原に吹く風の気配に寄せ、秋到来を詠まれた一首。西行の一首は、『新古今和歌集』に次ぐ、藤原定家が撰者となった第9番目の勅撰和歌集、『新勅撰和歌集』の秋歌上で「立秋」を歌題とした一群に排列されています。

『万葉集』の東歌で武蔵野を詠まれた歌が収められてより、武蔵野は平安時代に『伊勢物語』や『古今和歌集』などの物語や和歌で採り上げられ、それらの歌物語により武蔵野のイメージは受け継がれていきました。秋歌に撰集された西行の一首は、武蔵野を背景として和歌に詠み継がれてきた伝統を後世に伝えたいという定家の思いが表れているように思います。

武蔵野の広い草原に生い茂る草の葉に白玉を貫いたように並ぶ露の玉。そこに風が吹き寄せ、草の葉に置いた露はこぼれ落ち、整然としていた葉は風に結ばれたように乱れます。「露」の縁語である「むすぶ」という詞により、広大な原野のひとこまを切り取り、秋の初風によって草の葉と露の玉の2つの動きを対照的に捉え、初秋の風趣を伝えています。

武蔵野の原野を背景に初秋を趣深く詠まれた一首を書で表しました。

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白粉花

夏の夕暮れ、柔らかで愛らしい小花が浮かび上がるように咲くオシロイバナ。密生する葉に鮮やかに映える花が夏らしいオシロイバナをしなやかな和紙の質感によって表し、陶器にあしらいました。

”Mirabilis jalapa”

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和紙クラフト一日講座「薔薇と実物のアレンジ」

一日講座「薔薇と実物のアレンジ」
2024 年11月4日(月)振替休日 / 11月30日(土)
各日 10:00~12:00
小津和紙 ( 東京日本橋 https://www.ozuwashi.net/ )

艶やかな深紅の小輪のバラに漆黒に色づくヒオウギの実を添え、晩秋の落ち着きのある趣を和紙のしっとりとした色合いと質感によって表します。また、和紙の柔らかな色合いを生かしたシルバーリーフのシロタエギクと明るく柔らかな和紙の質感によるリキュウソウのグリーンを添え、クリスマスシーズンに向けて、そのまま飾っていただける形式に一回で仕上げます。

講座のお申し込み・お問い合わせ・変更は、小津和紙文化教室(一日講座のページhttps://www.ozuwashi.net/lectureship_trial.html)までお願い申し上げます。

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誰が秋に

誰が秋に あらぬものゆゑ 女郎花 なぞ色に出でて まだきうつろふ(古今和歌集:紀貫之)
Taga aki ni aranu mono yue ominaheshi nazo iro ni idete mada ki utsurofu
(kokin Wakashū:Ki no Tsurayuki)

秋は誰にも訪れるというのに、なぜオミナエシの花だけが衰えてみえるのだろうかと詠まれた一首。『古今和歌集』の秋部に配列されている歌の詞書には、「朱雀院の女郎花合(をみなへしあはせ)にてよみたてまつりける」とあります。

「女郎花合(をみなへしあはせ)」とは、オミナエシの花に和歌を添え、花の美しさと歌の優劣を競い合った歌合(うたあわせ)で、898年に宇多上皇が主催しました。優雅な趣向を凝らせた歌合には貫之をはじめ、壬生忠岑(みぶ の ただみね)、凡河内躬恒(おおしこうち の みつね)、藤原興風(ふじわら の おきかぜ)、源宗于(みなもと の むねゆき)、伊勢(いせ)など古今時代を代表する歌人が集いました。

オミナエシは『万葉集』に詠まれているとおり、花の名の女郎(をみな)に若い女性、高貴な女性、佳人の意味が込められてきました。オミナエシを女性に見立てたイメージは、秋を詠む主要な題材として受け継がれていきました。

貫之の一首は、晩夏に咲き始めたオミナエシの色鮮やかな花が秋になり、衰えをみせたことに寄せ、恋人に飽きられた女性のイメージを重ねました。秋の訪れを告げるオミナエシは、秋草の中でも草丈があり、遠目からも鮮やかな黄色い小花が浮き立ってみえます。秋の野で儚げに秋風に揺れる様は、たおやかで優美な女性の姿を想わせます。

雅な歌合に寄せ、初秋の情趣を詠まれた一首を書で表しました。

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