
梅雨時、釣鐘状の花が俯いて咲く姿が野趣ある、ホタルブクロ。柔らかな花の形状を手漉き和紙の白色と点描で表し、陶器の一輪挿しにあしらいました。
“Hotarubukuro”

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初夏の高原に咲くヒメカンゾウ。小振りで可憐な一日花は、しなやかに新緑に映えて爽やかな季節を伝えます。優しい山野草の風情を和紙の色合いで表し、扇子にあしらいました。
”Narrow dwarf day‐lily”
花散りし 庭の木の葉も 茂りあひて 天照る月の 影ぞまれなる (新古今和歌集:曾禰好忠)
Hana chiri shi niha no konoha mo sigeri ahite amateru tsuki no kage zo mare naru
(Shinkokini Wakashū:Sone no Yoshitada)
新緑の季節の月を詠んだ一首。桜の花が散った後、枝一面に新葉が広がり、天地を照らす月の光は僅かにしか差し込まない初夏の樹木の勢いが伝わってきます。
『新古今和歌集』夏歌に撰集された一首を詠んだ曾禰好忠(そね の よしただ)は、平安中期の歌人として既成概念にとらわれず、万葉の詞を用いたり、清新な感覚と着想で歌を詠みました。
好忠の一首に詠まれた「天照る月」という詞は、以下の歌に示すように『万葉集』にみられる詞です。
久方の 天照る月の 隠りなれば 何になそへて 妹を偲はむ( 巻11:作者未詳 )
久方の 天照る月は 神代にか 出てかへるらむ 年は経につつ ( 巻7:作者未詳 )
『新古今和歌集』では、和歌の伝統に新たな風を興そうとして『万葉集』を拠り所しているように、好忠の一首は万葉の詞を取り込みつつ、新味のある視点で夏の月を詠んだところに着目され、撰集されたと思われます。
万葉の詞の荘厳な響き、力強さによって樹木の生命力を一層引き立てる一首を書で表しました。
白色から濃紅色へと転じる花が愛らしい紅額アジサイ。中央の細やかな白い両性花とそれを取り囲むように咲く中性花の紅色の対比が鮮やかです。変化のある花色と両性花の形状の特徴をグラデーションの和紙の自然な色合いの変化と繊維の強さによって表し、竹の花器にあしらいました。
”Hydrangea”
山野に自生し、野性味のある花として親しまれてきたアザミ。紅紫色の花と鋭い葉の取り合わせを紙素材ならではの線の切り口と和紙素材のしなやかさで表し、和紙を手折った扇子にあしらいました。
” Japanese thistle”
和紙クラフト 一日講座「夏草のブーケ」
2021年 7月23日 祝日(金)/ 7月31日(土)
各日 10:00~12:00
小津和紙 ( 東京日本橋 http://www.ozuwashi.net/ )
夏中、愛らしい色鮮やかな花を絶やさぬニチニチソウ。清楚な白色の花とすっきりとした草姿が涼やかなタマスダレ。柔らかでシンプルな形が夏草らしいニチニチソウとタマスダレをそれぞれの趣に合わせて選択した和紙により表し、生き生きとした花の表情を伝えます。作品は素朴な和紙に包みブーケにあしらい、そのまま飾っていただける形式に一回で仕上げます。
講座のお申し込み・お問い合わせ・変更は、小津和紙文化教室(一日講座のページhttp://www.ozuwashi.net/lectureship_trial.html)までお願い申し上げます。
身近にみられるヒメジョオン。細やかな花びらは逞しさのなかにも優しさがあります。繊細さと野草らしい強さを併せ持つ花の風情を和紙の繊維の強さによって表し、陶器にあしらいました。
“Erigeron annuus”