卯の花

夏の訪れを清楚に伝えるウツギ。純白の小花がほろほろとこぼれるように咲くウツギは卯の花と呼ばれ、初夏の風物詩として親しまれてきました。和紙の白色を生かして細やかな花の風情を表し、陶器の一輪挿しにあしらいました。

”Deutzia” 

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夕月夜

夕月夜 ほのめく影も 卯の花の 咲けるわたりは さやけかりけり(千載和歌集:藤原実房)
Yufudukuyo honomeku kage mo unohana no sakeru watari ha sayake kari keri
(Senzaiwakashū:Fujihara no Sanefusa)

暮方の空にかかる月の光の中に咲く卯の花を詠まれた一首。平安末期~鎌倉前期の歌人、藤原実房(ふじわらのさねふさ)の一首は平安末期、後白河院から撰進の命を受けた藤原俊成((ふじわらのとしなり)が撰者となって編纂された『千載和歌集』夏部で、「卯花」を歌題とした中に排列されています。

一首には「暮見卯花といへる心をよみ侍りける」と詞書があります。
夕方の月の光のほの暗い中、かかる光も微かな卯の花を詠みました。しだれる枝に小花を多数つけ、夏到来を告げる卯の花は、万葉時代から和歌に詠まれてきました。

一首では初夏の暮方の仄かな光の中でも、卯の花の咲いているあたりがくっきりと浮かび上がり、花の白さが際立ってみえます。また、卯の花の白さは雪にも見立てられ、和歌に詠まれてきました。実房の一首は、夕暮れの薄明のなかに卯の花の白さを捉えた視点が清新です。

純白の花が咲きこぼれるさまは清らかで、心安らかな心地を与えてくれます。楚々とした花の風情に寄せる想いを詠まれた一首を書で表しました。

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