弥生3月。雛の節句を象徴する桃と菜の花の精を人形に表したものです。和紙の風合いの柔らかさと温かみのある質感を生かしました。
桃の花のふっくらとした蕾がほころび、黄金色に野を埋めつくすよう菜の花が咲く春の野辺。明るく希望に満ちた春のうららかな田園風景を雛に込めたいと想った一作です。
“Hina doll”
弥生3月。雛の節句を象徴する桃と菜の花の精を人形に表したものです。和紙の風合いの柔らかさと温かみのある質感を生かしました。
桃の花のふっくらとした蕾がほころび、黄金色に野を埋めつくすよう菜の花が咲く春の野辺。明るく希望に満ちた春のうららかな田園風景を雛に込めたいと想った一作です。
“Hina doll”
和紙による菜の花を雛に見立てたものです。災厄を祓い、身の穢れを移すために人の身代わりとした形代(かたしろ)のひとつとしてきた古代の草雛の素朴さを残した葉を衣にした形のおひなさまです。早春の野をイメージして、白地に緑の色調の和紙を継ぎ合わせた継ぎ紙を雛の敷き紙に使いました。
“Nanohana hina doll”
本阿弥光悦・俵屋宗達に始まる「琳派」の流れの中で酒井抱一(さかいほういつ)、その弟子の鈴木其一(すずききいつ)をはじめとした「江戸琳派」では上巳の節句に向けた紙雛(かみひいな)や正月飾り(蓬莱飾り)など年中行事を題材にした図を残しています。上巳の節句に向けた花と紙を形代とした愛らしい「花雛図」も残されています。
花雛は、紙雛(かみひいな)の形式で蓮華(れんげ)や菜の花などを雛に見立てたもので、素朴な野の花を愛でて季節を愉しみ節句を祝う心が詩情豊かに表されており、簡素な中にも雅な風情を感じます。
「花雛図」というと鈴木其一(すずききいつ)の描いたものが想い起されます。鈴木其一(すずききいつ)は師の酒井抱一から、絵画のほか茶の湯や俳諧も学びました。田園風景を思い起こす蓮華と菜の花を雛に見立てる背景には千利休の”侘び”を感じます。
また、岡倉天心は『茶の本』の第7章「茶人たち」のなかで、「琳派」の表現について次のように述べています。
世に言う光琳派全体が、「茶道」の表現なのである。この派の太い描線には、自然そのものの活力が感じられる。
その場限りの美しさ、それを実現するための行為を利休の”侘び”と捉えると、無垢な野の花をそのままでなく、優美な和紙に包み簡潔な形式の雛に見立てるという行為には、”侘び”の思想が背景にあると感じます。
蓮華と菜の花を和紙で表したものを紙雛(かみひいな)に見立てました。
友禅紙を衣裳に選びの高さを11cmほどに抑えて、安定感を出しました。
“Flower Hina doll”
春の野の風情を伝えるスミレ。スミレの大きのさそのままの小さな雛に見立てたものです。
軽くて柔らかな質感の和紙の風合いとスミレの花色を生かしました。