紫の花色が印象的な秋の野山を代表する花、リンドウ。
すっきりとして躍動感のある細長い披針形(ひしんけい)の葉と釣鐘形の花のつき方に野趣があります。冴えた紫の花色には深い紫の染紙を選び、葉の描く線を弾力のある和紙で表し、陶器の花器にあしらいました。
”Gentian”
紫の花色が印象的な秋の野山を代表する花、リンドウ。
すっきりとして躍動感のある細長い披針形(ひしんけい)の葉と釣鐘形の花のつき方に野趣があります。冴えた紫の花色には深い紫の染紙を選び、葉の描く線を弾力のある和紙で表し、陶器の花器にあしらいました。
”Gentian”
椿が咲き始める時季。
晩秋から春まで、季節を追ってさまざまな咲き方と花色で愉しませてくれる椿。淡い花色の一重の花を柔らかな質感の和紙で表し、扇子にあしらいました。
”Camellia”
爽やかな秋空に映える秋桜。可憐な秋桜を和紙の柔らかさで表し、素朴な味わいのちり入りの和紙で包みブーケにアレンジしました。リボンには、しぼ(皺)のある縞状に染色が入れられた柳絞りの和紙を使い和の趣を出しました。
“Cosmos”
木々の葉が色づき始める頃。冬を前にして華やかに紅葉や黄葉のグラデーションに彩られる雑木林の景色をイメージし、リースに仕立てました。
実物の葉と同じほどの厚みと手触り、染色の変化を持った和紙の持ち味を生かして立体的に表しました。
”Fallen leaves wreath”
深まる秋の野や庭先で侘びた風情で季節を伝えるホトトギス。
控えめで秋らしい色合いの花は、名の由来である鳥のホトトギスの胸の模様に似た紫の斑点が野趣を引き立て、秋のしっとりとした情趣を伝えてくれます。
和紙の落ち着いた色合いによって花の風情を表しました。
”Tricyrtis hirta”
古来より吉祥植物として親しまれ、文様に表されてきた菊。
日本の秋を彩る気品ある菊は文様の素材として用いられてきました。格調高いもの、雅なもの、可憐なもの、華やかなものなど表現は幅広くあり、友禅紙にも多彩に展開されています。
左上の画像は、ぽち袋を金加工された友禅紙で折ったものです。左は華やかな友禅紙、右は緞子(どんす)柄の菊と花菱を取り合わせた雅な友禅紙を使いました。心づけやお祝い、お香を包むなど用途に応じて色柄を選ぶ愉しさがあります。
中央の画像は、菊立涌(きくたてわく)文様の友禅紙を生かしてクリスマスリースに見立てたものです。立涌は、蒸気が立ち昇り、雲が湧き上がる様を吉祥として捉えていたところを2つの曲線で表現した伝統文様です。
右下の画像は、花かごを可憐で落ち着いた小菊の友禅紙で折ったものと緞子(どんす)柄の友禅紙で折ったものです。小菊の友禅紙で折ったものには、厚くしっかりとした質感の和紙をかごの内側に敷き、和紙による野紺菊をあしらいました。花やお菓子など、かごに入れるものによって大きさを変えたり、色合いや図柄を選んでみるとよいと思います。
”Chrysanthemum”
秋ふかみ身にしむ風の夜半をへて 月もうれふる色ぞ添ひゆく(永福門院)
Aki fukami mi ni shimu kaze no yoha wo hete tsuki mo urefuru iro zo sohi yuku (Eifukumonin)
鎌倉時代、永仁五年(1297年)に行なわれた十五夜歌合の一首。永福門院は、伏見天皇の中宮となり、伏見天皇の譲位によって伏見院となられたのに伴い、門院となられました。伏見院と共に京極派を代表する女流歌人として歌壇で活躍されました。自然を深く凝視し、女性らしい感性で視覚・聴覚で捉えたものを詞に表現されました。門院の御歌の特徴は、自然事象を光・色彩・時間・距離感・動きによって感覚的に表現されたところにあります。
風によって悲哀の情をかき立てる秋。月の色も秋風によって伝えられた秋の心を受け、憂いを帯びた色に添えられていくのを感じ取った心を”色”という詞に込めた御歌を書で表しました。