春を告げるスミレの花より、切れ込みのある繊細な葉が優美なエイザンスミレを立体感のある花扇画に表した一作。
柔らかで優しい淡いピンクを帯びた花びらの色合いを和紙の繊細な色合いで表しました。
”Viola eizanensis”
『京洛老舗の会』
東武百貨店 船橋店
春を告げるスミレの花より、切れ込みのある繊細な葉が優美なエイザンスミレを立体感のある花扇画に表した一作。
柔らかで優しい淡いピンクを帯びた花びらの色合いを和紙の繊細な色合いで表しました。
”Viola eizanensis”
蛤の形に和紙で象ったものに和紙による椿をあしらいました。
和紙による蛤の内側は、金色の和紙で装飾しています。
花弁は白の楮の手漉和紙と白地に淡い黄色のグラデーションの板締和紙を取り合わせて花の表情を出しました。
“Kaiawase Camellia ”
春の京都展に向けた一作。春を告げる可憐なスミレを紫の板締和紙の色合いで表しました。
“Hana-shikishi-Violet”
「雅な雛のつどい展」(日本橋三越本店 ギャラリーアミューズ)が無事終了いたしました。
泉鏡花の『雛がたり』より発想しました花雛をはじめ、日本の野山に咲くスプリング・エフェメラル(春の妖精)と呼ばれるを早春の草花を縮小して制作したシリーズをご覧いただきました。
また、琳派400年という年にあたり、展示会のタイトルの「雅」をイメージした作品構成と展示を試みました。
画像は、出展しました花雛より菜の花を坐雛(すわりびな)で表した「菜の花雛」です。
寒さの中、ご来場いただきました皆様には心より御礼申し上げます。多くの方から温かなコメントをいただき、大変励みになりました。これからも、和紙作品から季節を愉しんでいただけましたら嬉しく思います。
泉鏡花の短編、『雛がたり』に書かれている、桜雛(さくらびな)、柳雛(やなぎびな)、花菜の雛(はななのひな)、桃の花雛(もものはなびな)、白と緋(ひ)と、紫(ゆかり)の色の菫雛(すみれびな)つくし、鼓草(たんぽぽ)の雛から発想を得たものを和紙で雛に表したものを並べてみたものです。
桜雛・柳雛は短冊飾り、花菜の雛・桃も花雛は紙雛(かみひいな)、菫雛は坐雛(すわりびな)、つくし・鼓草(たんぽぽ)の雛は草雛に近い形に表しました。
つくし・鼓草(たんぽぽ)の雛は、草の姿をそのままとどめた形に和紙を使ってまとめたものです。
つくしやたんぽぽからは生命感溢れる春の野の情景が思い起されます。源氏物語の第48帖「早蕨」の巻にある蕨とつくしのエピソードも連想されます。野で摘んだものが優美に飾られている姿が浮かびました。
4つの花雛は、実物の花に近い大きさで表しました。立体で表してみると、花雛としてみたときに、桜雛と柳雛は不可思議に感じられ、鏡花の創作のように思えてきます。そこには、花雛という概念を通じて伝えて残したいものが込められていることを感じます。
平安王朝の雅は、和歌とひらがなの洗練によって磨かれていき、背景には歌合(うたあわせ)がありました。
歌合は、歌の優劣を競うばかりでなく、さまざまな趣向を凝らしました。そのひとつに、歌の景色を表した工芸品がありました。「雅と歌合」(https://washicraft.com/archives/7422
の記事で書きましたように、宇多天皇が譲位されて法皇となった頃、催された「亭子院歌合(ていじのいんのうたあわせ)」(913年)では、歌の景色を表すのに、州浜(すはま)と呼ばれる台に歌の情景に合わせて造りもの山や川を配し、桜や山吹、卯の花を植えたり、鶯や郭公(ほととぎす)など木につける、川には鵜飼舟を浮かべるなど、春から夏への季節の趣向を凝らしたことが記録されています。州浜は、盆景、盆石、盆栽へと広がっていきました。
鉢を使った表現は、鉢の大きさや形によって制約されるところがあります。
雅な州浜の表現から発想を得て、春の野の情景を和紙による菫と土筆で表し、白木の台に飾りました。
「雅な雛のつどい展」に初日よりご来場いただきました皆様に御礼申し上げます。今後とも宜しくお願い申し上げます。
”Horsetail&Violet”
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「雅な雛のつどい展」に向けて、最近の作品の中より画像で表現したものからポストカードにしたものです。
昨年は、和紙とガラス・陶磁器・漆器など異質のものとの取り合わせを試みた作品をいくつか紹介いたしました。和紙と硬質のものを取り合わせることで、和紙の持っている風合いや柔らかさ、温かみがより引き立って見えることがあります。気品のあるもの、侘びた味わいのあるもの、凛としたもの、雅なもの、清涼感のあるもの、素朴で心和むものなど器によって雰囲気もさまざまです。和紙とは異質の器との出会いによって創出される気配があります。
画像の作品は四季の花を集めたものです。春は桜の品種のひとつ御衣黄(ぎょいこう)、夏は山紫陽花をグラスに合わせたもの、秋は七草より葛を扇面にあしらったもの、冬は斑入り椿を陶器に合わせたものです。
早春、開花するほんの束の間だけ可憐な姿を見せる植物をスプリング・エフェメラル(春の妖精)。
「雅な雛のつどい展」では、菜の花、れんげ草などの春の草花を雛に見立てた花雛のほか、春を告げる早春の花をテーマに作品展開いたします。
画像は昨年末に紹介いたしました作品より、集めて飾ったものです。前列左よりキクザキイチゲ、ショウジョウバカマ、フクジュソウ、後列左よりカタクリ、アズマイチゲです。
和紙による野の花から春を感じていただけましたら幸いです。
“Spring ephemeral”
端午の節句の兜飾りを色紙にあらわしたもの。
端午の節句は、菖蒲の節句とも呼ばれるように菖蒲によって邪気を祓い、健康を願うものでした。菖蒲(しょうぶ)の読み方が尚武(しょうぶ)、または勝負につながるとことから、男児の誕生と成長を祝うものが込められていきました。端午の節句は、穢れや災いを祓う上巳の節句の形代(かたしろ)という概念ではなく、神の依るものとしての依代(よりしろ)として兜飾りが捉えられていました。
兜の背景には端午の節句を象徴する菖蒲の葉をあしらい、友禅紙、千代紙、板締め和紙、揉み紙など質感の異なる和紙を取り合わせ、立体感を出しました。
兜の左右にある華やかな吹き返しと呼ばれる部分には、亀甲、紗綾形、菊花菱などの文様を取り合わせ、吉祥を込めました。
“Tango-Sekku”
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