投稿者「ymatsu」のアーカイブ

源氏物語より「篝火(かがりび)」

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“Genji Monogatari -Kagaribi”
秋のこと源氏は庭前の遣水(やりみず)あたりに篝火を焚かせています。
玉蔓を訪れた源氏が篝火の煙に託し玉蔓への想いを「篝火に たちそふ恋の煙こそ 夜には絶えせぬほのほなりけれ」と歌に詠みます。
それに対し玉蔓は、「行くへなき 空に消ちてよ篝火の たよりにたぐふ煙とならば」と果てしない空で想いを消してくださいと歌でさりげなく切り返します。

第26帖常夏に続く第27帖篝火では玉蔓の物語が続きます。
季節も秋風が吹き始めるころに移り変わりました。
夕顔のことが思い出されるほど玉蔓への追慕も深くなっていました。
「篝火の煙とともに立ち上る恋の煙は私の恋の炎であった」という意の歌で玉蔓に想いを伝えるものの自制心があり、篝火の炎のように心も揺らいでいます。

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「秋草」

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“Autumn Flower”
おみなえし、葛、萩をコンパクトに取り合わせて季節を彩ってみました。
このまま置いて楽しんでいただけます。
花入れは2つの趣の違う和紙を組み合わせています。

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「扇面 撫子」

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“Pink(Nadeshiko)”
源氏物語26帖常夏で撫子の花だけを植えた美しい庭の様子が描かれています。
手折ることがかなわない撫子。
撫子の花にたとえられた夕顔の娘で源氏の養女となった玉蔓をイメージして扇面と合わせてみました。

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「貝合わせ 葛」

“Kaiawe Kudzu vine”
赤紫の花色の濃淡が鮮やかな葛。
和紙の和の色合いを活かしてみました。
秋の七草の中でも野趣のあるものですが、和紙の蛤と合わせ季節を彩ってみました。

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「源氏物語絵巻 第五十帖 東屋」

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“Genji Monogatari Emaki no.50 Azumaya” 
京の三条あたりの小さな家で浮舟はひっそり暮らしています。
薫は浮舟の事情を知り、宇治に連れて行こうと浮舟の元を訪れます。
庭は草が生い茂っており、秋の冷たい雨が降り注ぎます。
(12×13.5cm)

大君亡き後、中の君は匂宮に迎えられ京の二条院で暮らしていました。
第四十九帖の宿木で登場した大君・中の君の異母妹である浮舟は中の君の元に預けられていました。
薫との縁談を考える浮舟の母の意向によるものです。
そこで浮舟は匂宮に見初められます。
難は逃れたものの、浮舟の母は三条の小宅へ浮舟を移します。
事情を知った薫は、浮舟を三条の住まいから宇治へ連れ出します。
浮舟は思わぬ成り行きに茫然とするばかりです。
場面は腰掛けて浮舟を待つ薫の前に広がる情景を描きました。
冷たい雨のそぼ降る設定は、宇治行きの結末を暗示するかのように思え、この場面を選びました。

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